セッション情報 消化器病学会特別企画1(消化器病学会)

日本消化器病学会ガイドライン(大腸ポリープ、機能性消化管障害、NAFLD/NASH)中間報告

タイトル 消特企1-2指:

機能性消化管障害(FD)ガイドライン作成の現状と問題点

演者 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 草野 元康(群馬大附属病院・光学医療診療部)
抄録 形態学を中心に進んできたわが国の消化管診療においても、形態診断学はある一定のレベルに達し医療の興味は確実に機能的疾患へと広がりつつある。また生活の質(QOL)に対する意識が高まり、国民の機能性疾患に対する関心は急速に高まっている。これらを背景として日本消化器病学会ガイドライン委員会で現在「機能性消化管障害(FD/IBS)診療ガイドライン」の作成が行われている。 機能性消化管障害は「機能性ディスペプシア;FD」と「過敏性腸症候群;IBS」の二つの班に分かれて作業を進めている。FDガイドライン作成委員会は12名のメンバーで構成され、また評価委員5名とオブザーバー1名がこれらの作業の進行、結果を監視、評価する。2011年12月に65個のclinical question(CQ)が確定し(概念・定義4、疫学9、病態13、診断11、治療21、予後・合併症7)、これに対する文献検索のキーワードを国際医学情報センター(IMIC)に依頼し、1012年4月時点で文献一次選択作業を始めている。これを5月中旬で終了し、構造化抄録作成後にステートメント作成作業に入る予定である。当初の予定から約半年遅れの進行となっているが、この間新しく導入されるgrade評価システムの理解を深めるワークショップを作成委員会委員で行い、最新のガイドライン作成に対応する体制を育んできた。FDのガイドラインに関しては、その定義や疾患概念についてローマ基準とどのように折り合うかが問題となるが、今後の保険病名にも関わる内容であるためローマ基準を基本としながらもそれを広く捉える方向性で進めていく予定である。慢性胃炎との疾患概念を明確に区別するため、他のガイドラインにはない疾患概念に関するCQを組み入れたことが特徴的であろう。またガイドラインの冒頭にはステートメントに基づいて診療に関するフローチャートを掲載し、日本におけるFDの診療体系を整理したいと考えている。
索引用語 機能性ディスペプシア, 慢性胃炎