セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)6

タイトル 消P-238:

当科における膵癌早期診断の取り組み

演者 増田 大介(大阪医大・2内科)
共同演者 井元 章(大阪医大・2内科), 小倉 健(大阪医大・2内科), 楢林 賢(大阪医大・2内科), 能田 貞治(大阪医大・2内科), 石田 久美(大阪医大・2内科), 阿部 洋介(大阪医大・2内科), 竹内 利寿(大阪医大・2内科), 井上 拓也(大阪医大・2内科), 時岡 聡(大阪医大・2内科), 瀧井 道明(大阪医大・2内科), 梅垣 英次(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【はじめに】当科では膵癌に対してERCPを中心とした診断を行っているが,2010年よりconvex EUSを導入し,EUS-FNAを用いた診断体系へ移行しつつある.【目的】当科における,convex EUS導入後の膵癌診断体系を,導入前と比較しその有用性を評価する.【対象と方法】2006年以降当科で経験したIPMCを含めた膵癌104例(平均年齢68.4±0.8歳,男女比72:32)を対象とした.104例の内訳は通常型膵癌81例(TS1:11,TS2:50,TS3:16,TS4:4),IPMC23例(主膵管型12例,混合型8例,分枝型3例)であった.EUS-FNAを導入前(前期52例)と導入後(後期52例)の膵癌に対する当科におけるストラテジー,及びその成績をretrospectiveに検討した.腹部US,MDCT,MRIの各種画像検査を行った後に,前期はradial型EUSを行った上で,ERCPによる生検・細胞診(膵液細胞診・生検,黄疸例では胆汁細胞診,胆管生検)を行った.後期はconvex型EUSを行い,腫瘤性病変に対してEUS-FNAを,IPMCに対してはconvex EUSによる観察を行った上で,ERCP下の細胞診・生検を行った.【結果】1)全体の成績;ERCP下の膵液細胞診の陽性率は68.1%(47/69),EUS-FNAの陽性率は94.1%(32/34)であった.2)前期の成績;ERCP下の膵液細胞診は65.0%(26/40),ERCP下の他の生検・細胞診を組み合わると,陽性率は73.1%(38/52)であった.後期の成績:ERCP下の膵液細胞診の陽性率は72.4%(21/29),EUS-FNAの成績を組み合わせると 88.0%(46/52)であった.診断成績は前期73.1%,後期88.0% (p<0.05)で有意に後期の成績が向上した.3)膵癌の発見から確定診断に至るまでの期間は,前期51.5±5.9日,後期23.9±2.4日(p<0.0001)と有意に後期の診断確定に至る期間は短かった.【結語】膵癌早期診断に対し,EUS-FNAによって,診断の向上と診断期間の短縮が得られ有用と考えられた.
索引用語 膵癌, 早期診断