セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)6

タイトル 消P-240:

局所制御を目的とした放射線化学療法の意義

演者 板倉 淳(山梨大・1外科)
共同演者 細村 直弘(山梨大・1外科), 雨宮 秀武(山梨大・1外科), 川井田 博充(山梨大・1外科), 河野 寛(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 目的:当科では局所制御を目的とした術中照射・gemcitabine(Gem)併用術後体外照射(EBRT)による術後補助化学療法を施行してきた。その結果とともにより合理的な治療法について検討した。対象・方法:1986年10月より2007年8月までに切除術を施行した通常型膵管癌141例を対象に放射線化学療法施行群(RTG群)と非治療群(Non群)に分け、再発形式、再発時期を検討した。RTG群では術中照射は20-25Gy、対外照射は30-50Gy行った。GemはEBRT施行中に200-600mg/m2/w投与、外来維持療法としてGem1000mg/m2/biweeklyを施行した。2007年9月以降は手術+術中照射後、3クールのGemの投与を行い、遠隔転移のない症例にのみEBRTを施行する交替療法を施行した。結果:RTG群は55例、Non群は86例であった。RTG群とNon群のMSTと1,3,5生率はそれぞれ21.6ヶ月と11.0ヶ月、66.0、38.9、38.4%と47.5、13.3、11.8%とRTG群で有意に生存期間の延長が認められた。RTG群、Non群それぞれのR0-1症例のうち再発が確認された症例はそれぞれ23/37例(62.2%)と45/48例(93.8%)でRTG群で有意に再発率が低下していた。再発形式が確認された症例のうち遠隔転移と局所再発の割合はRTG群で78.3%と21.7%、Non群で48.7%と51.3%で、RTG群では局所再発が少なかった。交替療法の対象症例は51例でEBRTに移行できた症例は36例(71%)で、7例はEBRT開始前の再発により、8例は他疾患や患者拒否により施行できなかった。EBRTが施行できた36例中13例(36%)がEBRT後に再発を認め、11例は遠隔転移、2例が局所再発であった。EBRT施行例と早期再発例の術前CA19-9の平均値は223mg/dlと1493mg/dlで有意に早期再発例で高くなっていた。考察:術中照射術後体外照射併用術後補助化学療法は局所再発を軽減することにより予後を改善できる可能性が示唆された。また手術時の潜在的遠隔転移を考慮した交替療法はより合理的な集学的治療である。
索引用語 膵臓癌, 放射線化学療法