セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(腫瘍)6

タイトル 消P-243:

膵上皮内癌診断における膵管異常の成り立ち

演者 多田 大和(川崎医大・肝胆膵内科DELIMITER先端消化器画像研究センター)
共同演者 吉田 浩司(川崎医大・肝胆膵内科DELIMITER先端消化器画像研究センター), 中島 義博(川崎医大・肝胆膵内科DELIMITER先端消化器画像研究センター), 佐々木 恭(川崎医大・肝胆膵内科), 河瀬 智哉(川崎医大・肝胆膵内科), 野村 佳克(先端消化器画像研究センター), 長田 祐輝(先端消化器画像研究センター), 石野 淳(先端消化器画像研究センター), 牛尾 純(先端消化器画像研究センター), 堤 宏介(川崎医大・消化器外科), 中島 洋(川崎医大・消化器外科), 伊禮 功(川崎医大・病理学), 宮田 英樹(先端消化器画像研究センター), 中村 雅史(川崎医大・消化器外科), 岩尾 年康(先端消化器画像研究センター), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科)
抄録 近年画像診断の進歩とともに微小膵癌の発見が散見されるようになってきたが、膵癌の初期像に関しては未だ解明されていない点が多い。これまでわれわれは膵上皮内癌(CIS)であってもわずかな膵管異常をきたし、それが発見の契機となっていると報告してきたが、なかには膵上皮内癌とIPMNとの鑑別が困難な症例もみられる。そこで膵上皮内癌の膵管異常の成り立ちを明らかにするために、CIS症例の膵管像と組織像(上皮の粘液形質/周辺膵実質の線維化)を、微小浸潤T1膵癌(MI)、膵管狭窄を認めたIPMN(IPMN-S)、非浸潤型IPMC(NI-IPMC)、微小浸潤IPMC(MI-IPMC)のものと比較検討した。過去15年間に経験した上皮内がん(CIS)8例、微小浸潤T1膵癌(MI)3例、膵管狭窄を認めたIPMA(IPMA-S)3例、非浸潤型IPMC(NI-IPMC)3例、微小浸潤IPMC(MI-IPMC)2例を対象とした。粘液形質、腫瘍の局在、腫瘍周辺にみられる線維化の程度及び範囲を病理組織学的に検討し、膵管像と対比した。腫瘍部分の上皮の粘液形質を免疫染色により分類し、周辺膵実質の組織変化を線維化、腺房の委縮・消失およびラ氏島の有無によりGrade1から3の3段階で評価した。MUC1,MUC2、MUC5AC、MUC6、CD10による免疫染色で胃型となったのはMI 100%(3/3)、CIS 100% (8/8)、IPMA-S 100%(3/3) 、NI-IPMC 0%(0/3)、MI-IPMC 50%(1/2)であった。NI-IPMCは腸型が2例、pancreatobiliary型が1例でOncocystic型は認められなかった。腫瘍周辺にみられる線維化はMIでその程度が強かったが、CIS、IPMA-S、NI-IPMC、MI-IPMCで差がみられず、粘液形質の違いと線維化の程度に関連性はなかった。膵上皮内癌の局在診断には膵管像が重要な役割を担っているが、今回の検討において、嚢胞径や膵管狭窄の有無で膵上皮内癌と胃型の粘液形質を有するIPMNとの鑑別が困難な症例が存在することが判明し、細胞診の重要性が再認識させられた。
索引用語 膵上皮内癌, 膵管像