セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-244:

同時性胆道系重複癌を合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1例

演者 坂谷 彰彦(大手前病院・消化器内科)
共同演者 笹井 保孝(大手前病院・消化器内科), 西田 直浩(大手前病院・消化器内科), 寺部 寛哉(大手前病院・消化器内科), 阪本 めぐみ(大手前病院・消化器内科), 上ノ山 直人(大手前病院・消化器内科), 松田 高明(大手前病院・消化器内科), 土井 喜宣(大手前病院・消化器内科), 北山 聡明(大手前病院・放射線科)
抄録 今回我々は膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下IPMN)に胆管癌と胆嚢癌の同時性重複癌を合併した症例を経験したのでその概要を報告する。患者は83歳の女性で皮膚黄染を主訴に近医を受診し肝機能障害を指摘され当科紹介となった。CT、MRCPでは膵頭部に最大径4cm程度の多房性嚢胞性腫瘍と膵病巣から離れた総胆管中部に狭窄を認めた。ERCPでは膵頭部に主膵管と交通する多房性嚢胞性病変を認め、膵液細胞診の結果はclass II、胆汁細胞診の結果はclass IIIで腺癌が疑われた。以上よりIPMN に合併した胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した。組織学的に嚢胞性病変は非浸潤型のIPMNで中部胆管癌は深達度seの高分化型腺癌であった。また、胆嚢体部から底部にかけて高分化型腺癌の浸潤を認め、深達度はseであった。組織型は共に高分化型腺癌であったが両病変に連続性は見られず、胆嚢癌ではCK20陰性であるのに対し胆管癌では一部陽性であったことから同時性重複癌と診断した。IPMNを有する患者では他臓器癌の合併頻度が高いことは以前から報告されてきたが、胆道系腫瘍の合併率は低く、国内の文献報告も30例程度に留まっている。また、従来胆道系に重複癌を来たした症例の報告は散見されるものの、IPMNに胆道系重複癌を合併した症例は我々の検索しえた限り自験例が初であり、極めて稀な症例と考えられたことから文献的考察を踏まえて報告する。
索引用語 IPMN, 重複癌