セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
膵臓(症例報告)
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タイトル |
消P-245:経口胆管・膵管鏡システム(Boston社製、SpyGlass®)が診断に有用であった胃壁への瘻孔形成を有するIPMAの1例
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演者 |
小林 聖幸(香川大・消化器・神経内科) |
共同演者 |
藤田 浩二(香川大・消化器・神経内科), 六車 直樹(徳島大・消化器内科), 松岡 裕士(屋島総合病院・内科), 吉野 すみ(高松市民病院・消化器内科), 小田 修二(高松市民病院・消化器内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科) |
抄録 |
【症例】80歳台、女性【既往歴】平成21年に当科で胆膵管合流異常と診断されたが、積極的な治療は希望されず近医で外来フォローされていた。【現病歴】平成23年12月より食欲不振が出現し、平成24年1月中旬に改善がみられないため、近医より当科紹介となった。来院時血液検査にて肝胆道系酵素の上昇とT-bil3.5mg/dlの上昇を認めた。腹部CTでは肝外胆管・膵管の拡張と拡張した膵管が胃内腔へとつながっているように思われ、精査加療目的に入院となった。MRCPでも同様の変化が疑われ、上部消化管内視鏡検査を施行した。十二指腸乳頭より粘液排出があり、さらに胃体上部小弯に粘液様排液を伴う瘻孔を認め、小さな乳頭状の隆起性病変がみられ生検を行った。生検結果でIPMA(Intraductal papillary-mucinous adenoma)と診断された。さらにERCPを施行すると主膵管が尾側で胃壁に穿通しており、ガイドワイヤーも容易に十二指腸乳頭側から胃内へと主膵管を通じ誘導できた。SpyGlass®を用いて胃壁穿通部より膵管鏡を行った。主膵管には膵尾部から膵体部・膵頭部まで乳頭状・イクラ状隆起が存在し生検を行った。生検結果はIPMAで悪性所見はみられなかった。その後、積極的な治療は希望されず現在対症療法にて経過観察中である。【まとめ】他臓器への瘻孔を形成するIPMNは1980年に初めて報告された。その原因としては、癌細胞浸潤によるものや本症例のように圧力上昇によるものが考えられる。また、瘻孔を形成することによって膵管造影では評価困難であった病変の広がりについては、膵管鏡を用いることで可能となり大変有用であった。今回、我々は胃壁への瘻孔形成を有するIPMAの1例を経験したので報告する。 |
索引用語 |
IPMA, 瘻孔 |