セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-246:

経過にて膵管狭細像を来した自己免疫性膵炎の一例

演者 清水 周哉(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 内藤 格(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 中沢 貴宏(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 林 香月(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 宮部 勝之(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 近藤 啓(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 吉田 道弘(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 山下 宏章(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 大原 弘隆(名古屋市立大大学院・地域医療教育学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【緒言】自己免疫性膵炎(AIP)診断基準2011(AIP2011)では限局型AIPの診断にERPによる膵管狭細像は必須項目である。今回我々は、膵管狭細像を認めなかったためにAIP2011では診断不能であったAIPを経験したので報告する。【症例】55歳、男性。胆道系酵素上昇にて経過観察中の腹部MRIで膵腫瘤を認め、入院となった。入院時採血では、高IgG4血症(669mg/dl)を認めた。腹部MRIにて膵頭部と膵尾部に約10mmのT1強調像で低信号、脂肪抑制T2強調像でわずかな高信号を呈する腫瘤を認め、両者に連続性は認めなかった。腹部CTでは同腫瘤はともに造影後期相でわずかに高吸収を示した。ERCPでは胆道系に明らかな異常を認めず、膵管狭細像も見られなかった。胆管IDUSでは胆管壁のびまん性の肥厚を認めた。膵外病変は認めなかった。AIP2011は満たさなかったが、AIPが強く疑われたため2010年1月よりプレドニゾロン(PSL)30mgで治療を開始した。治療2週後には膵腫瘤は縮小し、ステロイドの治療効果が認められ、国際コンセンサス診断基準(ICDC)には合致した。その後PSLを漸減し、2011年11月にPSLを中止したところ、2012年1月に糖尿病の発症と肝胆道系酵素の上昇を認め再入院となった。入院時採血ではIgG4が686mg/dlと再上昇を認めた。腹部MRIでは前回膵腫瘤として描出されたT1強調像低信号域は膵全体に広がり、びまん性腫大を呈していた。ERCPでは下部胆管の狭窄像と膵管のびまん狭細像を来していた。AIP2011、ICDCをともに満たし、AIPと診断した。ステロイド治療2週後には膵腫大、下部胆管狭窄像、膵管狭細像はいずれも改善した。【考察】本例は経過中に膵管狭細像を来し、AIP2011にて診断可能となった。AIP2011では膵管狭細像を来さない症例は診断不能であるが、ICDCではステロイド反応性にて診断可能である。無症状であってもステロイド反応性を確認し、確定診断する必要があった症例と考えられた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵管狭細像