セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-247:

肺線維症を合併し治療法選択に苦慮した自己免疫性膵炎の1例

演者 森田 照美(鳥取生協病院・内科)
共同演者 大廻 あゆみ(鳥取生協病院・内科), 宮崎 慎一(鳥取生協病院・内科), 上萬 恵(鳥取生協病院・内科), 岡田 睦博(鳥取生協病院・内科), 鈴木 一則(鳥取生協病院・外科), 竹内 勤(鳥取生協病院・外科)
抄録 自己免疫性膵炎はIgG4関連全身疾患の膵病変として考えられ、多様な膵外病変を合併することがある。今回我々は肺線維症、後腹膜線維症を合併し、肺病変の治療方針決定に苦慮した自己免疫性膵炎の症例を経験したので報告する。症例は60歳代男性。2010年12月健診胸部単純X線写真で異常陰影を、また腹部超音波検査にて膵尾部腫大を指摘され、2011年1月精査目的で当院紹介受診となった。腹部単純CTにて膵尾部の限局性腫大、左水腎症、大動脈から総腸骨動脈周囲に軟部陰影を認めた。腹部ダイナミックCT早期相では膵尾部実質の増強効果は不均一に低下し、辺縁に帯状の低吸収域がみられた(capsule-like rim)。また胸部単純CTで少量の右胸水と右肺背側を中心としたhoney-combを認めた。血清IgG4 457mg/dl、胸水中IgG4 569 mg/dlといずれも高値であり、IgG4に関連した一連の疾患と考えられた。ERCPでは膵体尾部で主膵管の強い狭窄を認め、膵管擦過細胞診は陰性であった。自己免疫性膵炎ではステロイド療法が奏功するが、一方で肺線維症の標準治療はステロイド+免疫抑制剤併用療法であり、治療方針決定に苦慮した。同年5月下腿浮腫が出現し、後腹膜線維症から両側水腎症、腎後性腎不全をきたしたため、尿管ステント留置後にPSL40mg/日内服による治療を開始し、以降画像所見は改善傾向である。しかし肺病変は残存しており、今後の経過観察、治療方針について議論を重ねている。肺線維症、後腹膜線維症を合併した自己免疫性膵炎を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 肺線維症