セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告/その他)

タイトル 消P-255:

一般急性期病院における緩和医療の現状と問題点-膵癌の医療から-

演者 松下 知路(岐阜赤十字病院・消化器内科)
共同演者 杉江 岳彦(岐阜赤十字病院・消化器内科), 宮崎 恒起(岐阜赤十字病院・消化器内科), 高橋 裕司(岐阜赤十字病院・消化器内科), 伊藤 陽一郎(岐阜赤十字病院・消化器内科), 名倉 一夫(岐阜赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】各地域に癌拠点病院にて癌診療を行っている一方,それ以外の急性期病院でも癌診療を行っている。そのうち緩和医療は,H20年4月より”がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会”が開催されているが,臨床にどの程度反映されているかは明らかではない。現時点での一般急性期病院での緩和医療の現状を把握し問題点をあげる。【方法】H19年1月よりH23年12月に当院にて死亡した膵癌患者45名を対象とし,入院期間,治療内容(特に緩和医療),および栄養療法(全病期および死亡2週間前)等について検討した。内訳≫発症時年齢平均75.0歳(53歳から94歳) 男性/女性:22/23 初発ステージ:1/2/3/4a/4b;1/1/3/5/35であった。【結果】 初回入院時から死亡までの期間:10-345日,中央値13日,その間の入院生活の割合19.9-100%であった。初回入院後の入院生活は平均70%以上となり,長期に及んでいた。なお 8例の未告知があった。治療内訳(のべ例):手術/化学療法/緩和医療3/28/45であり,緩和医療は全症例に行われ,内緩和医療のみ18例であった。その緩和医療内訳は,NSAIDsの使用30例と多くの症例で使用していたが,14例は頓服に留まっていた。オピオイドの使用も32例であり,オピオイドローテーションも半数以上の18例で行っていた。また抗精神病薬の併用例は17例,終末期鎮静を施行したのは4例であったが,内未告知の患者が3例もあった。そのほか腹腔神経叢ブロック2例,胆管ステント14例,十二指腸ステント3例であった。また減圧目的の胃瘻増設を2例施行していた。栄養管理はエレメンタルダイエット食の補充を3例,濃厚流動食の補充5例に行っているのみであった。2例は胃瘻から,中心静脈栄養(IVH)は18例(内リザーバー留置5例)であった。終末期(死亡14日前)の栄養はIVH15例,1000mlより多い補液5例と終末期であっても通常の栄養管理を行っていた。1000ml以下の補液であった症例は16例であった。【結論】緩和医療は行われているが、十分にガイドラインが普及していないと考えられた。
索引用語 緩和医療, 膵癌