セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓(その他) |
---|---|
タイトル | 消P-259:当院での早期慢性膵炎症例における臨床的特徴と治療効果の検討 |
演者 | 稲富 理(滋賀医大・消化器内科) |
共同演者 | 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 神田 暁博(滋賀医大・消化器内科), 大崎 理英(滋賀医大・消化器内科), 児堀 綾子(滋賀医大・消化器内科), 望月 洋介(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 伴 宏充(滋賀医大・消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医大・消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医大・消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医大・消化器内科), 斎藤 康晴(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】慢性膵炎臨床診断基準2009にて早期慢性膵炎の概念が取り入れられて以来、従来に比較してより早期の膵障害の拾い上げが可能となったが、早期慢性膵炎の臨床的意義については依然症例の積み重ねが必要である。今回我々は当院で診断された早期慢性膵炎および疑い症例の臨床経過と治療効果について検討した。 【方法】対象は当院にて診断治療を行った早期慢性膵炎11症例および疑い6例の計17症例(平均年齢61.5歳、男女比11:6)。早期慢性膵炎のEUS画像所見を呈しかつ臨床症状を1項目満たすものを治療適応があると判断し「早期慢性膵炎疑い」と定義した。 【成績】早期慢性膵炎診断基準のうちEUS所見の合致項目数は診断群2.5±0.5、疑い群2.2±0.8項目であった。臨床症状の診断項目別合致率は(1)反復する上腹部痛;診断群9/11(81.8%)、疑い群2/6(33.3%)(2)血中膵酵素異常;診断群9/11(81.8%)、疑い群4/6(66.7%)(3)外分泌障害;診断群3/11(27.3%)、疑い群0/6(0%)(4)1日80g以上の飲酒歴;診断群3/11(27.3%)、疑い群0/6(0%)であった。治療内容はメシル酸カモスタット14/17(82.3%)、膵性消化酵素剤15/17(88.2%)であり、診断後治療期間は平均16.7ヶ月、治療効果として上腹部痛の改善は診断群7/9(77.8%)、 疑い群0/2(0%) 、膵酵素正常化は診断群3/11(27.3%)、疑い群1/4(25%)で認めた。EUS所見の改善は両群とも1例も認めなかった。 【考察】早期慢性膵炎診断群では多くの症例で投薬による臨床症状の改善を認めており、積極的に診断・治療を行う臨床的意義が大きいと思われた。ただし疑い症例については診断項目を1項目満たしているにも関わらず改善率が悪く、他疾患の混在などを検証する余地がある。またEUS像の改善に至る症例は認めず、可逆的な病態であるかどうかは更なる症例と追跡期間が必要と思われた。 |
索引用語 | 早期慢性膵炎, EUS |