セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-260:

DPP-4阻害剤による血清膵アミラーゼ・リパーゼ上昇についての検討

演者 徳山 宏丈(国立千葉医療センター・糖尿病代謝内科)
共同演者 杉浦 信之(国立千葉医療センター・総合内科), 岡澤 哲也(国立千葉医療センター・糖尿病代謝内科), 齊藤 正明(国立千葉医療センター・総合内科), 後藤 茂正(国立千葉医療センター・総合内科), 有賀 明子(国立千葉医療センター・総合内科), 菰田 弘(国立千葉医療センター・総合内科), 石田 琢人(国立千葉医療センター・総合内科), 金田 暁(国立千葉医療センター・消化器内科), 伊藤 健治(国立千葉医療センター・消化器内科), 阿部 朝美(国立千葉医療センター・消化器内科), 秋池 太郎(国立千葉医療センター・消化器内科), 横手 幸太郎(千葉大大学院・細胞治療内科学), 島田 典生(国立千葉医療センター・糖尿病代謝内科)
抄録 【目的】DPP-4阻害剤(DPP-4i)は近年糖尿病治療薬として広く用いられているが、一部で膵炎発症や膵癌のリスクについて懸念されている。そこでDPP-4i による2型糖尿病患者の膵臓への影響を検討するために、血中膵逸脱酵素の変化について研究を行った。【方法】DPP-4iの単独または追加投与を行った2型糖尿病患者24例(シタグリプチン50mg/日・12例、アログリプチン25mg/日・12例)を対象に、HbA1c・腹部症状・血清中膵アミラーゼ値(P-amy)・白血球数・CRP・血清TNF-αについて投与前と投与8週後を比較した。また、6例について血清リパーゼ値(lipase)を同様に比較した。P-amyについては観察し得た14例について24週後の変化も確認した。【成績】0→8週でHbA1c(NGSP値)は7.5±0.2→7.0±0.2 ( mean±SE)と改善した。腹部症状の訴えはなかった。P-amyは36.1±2.4→41.1±3.3と軽度だが有意に上昇した(**p=0.0007, paired t-test)。白血球数・血清TNF-αは変化を認めなかった。CRPは若干増加したが有意ではなかった。Lipaseは43.2±8.0→52.3±9.9と軽度であったが有意に増加した(*p=0.04)。また、24週後のP-amyを測定した14例について比較したところ、40.3±3.5(0週)→46.9±4.9(8週)→42.2±4.3(24週)と経過し、8週目にはやはり軽度ながら有意な(**p=0.003)増加を認めたが、24週目にはやや改善して有意差は無くなった(p=0.31)。【結論】2型糖尿病患者に対するDPP-4i の投与により、血中のP-amyとlipaseが正常範囲内で一過性に有意な上昇を示した。これら変化の病的意義は明らかでなく、膵疾患の発症と関係するかなど、今後長期的な影響も含めてより詳細な検討が望まれる。
索引用語 DPP-4阻害剤, 膵アミラーゼ