セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-261:

成分栄養剤エレンタール投与による慢性膵炎患者33例の腹部疼痛軽減及び栄養改善効果の検討

演者 今西 清(東大阪山路病院・内科)
共同演者 前田 三郎(恵生会病院・内科)
抄録 慢性膵炎は、腹痛・嘔気・嘔吐などの症状と消化不良性下痢など外分泌機能不全による症候を伴い、再燃・軽快を繰り返して不可逆的な経過をたどることが多い。慢性膵炎患者は、腹痛・食思不振や下痢のため、経口での十分な栄養摂取ができず、栄養状態も良好ではないことが多い。根本的治療法はなく、食生活指導と消化酵素剤、胃酸分泌抑制剤の投与などが中心となる。2010年末までに、通常の治療にては症状の解消していない慢性膵炎患者(確診または準確診例)5例に膵炎に保険適応のある経腸栄養剤エレンタール(1包80g:300kcal)を1日2包内服投与し、臨床検査(体重、HB、TP、ALB、血清アミラーゼ、血清リパーゼ)を投与開始前、投与4、8及び12週に実施。また、腹部疼痛・不快感についてはビジュアルアナログスケールを使用、投与開始前と投与1、2、4、8及び12週にチェックした。5例全例で12週経過後の栄養状態改善および腹部痛軽減を認めた。1例には著明な栄養状態の改善、腹部症状の改善を認め、「つらさに耐えながら、でも、生きています。」から「普通に過ごせるのって、こんなに幸せなんですね。」と変化した患者の言葉に、主治医も少なからず喜びを感じた。この5例の良好な結果を得て、この他にも、今まで通常治療していた慢性膵炎確診・準確診3例および、画像診断(腹部エコー・CT)では特に異常を認めないが、臨床症状(食後の腹痛・軟便・下痢持続など)と膵酵素異常値を伴う慢性膵炎疑診例で消化酵素剤ベリチームを6g/日以上を投与している25例をも加えての33症例に投与した結果について検討し提示する。drop outした9例を除く24例では、ほぼ全例で疼痛改善・栄養改善効果を認め、その有用性を実感した。慢性膵炎診断基準が2009年に改訂され、成分栄養剤投与による治療が行いやすくなったことをも踏まえて、地域第一線の医療現場でも行える慢性膵炎の診療について若干の検討・考察・提案を加えて発表する。またdrop outした9例についても検討を加え考察する。
索引用語 成分栄養剤エレンタール, 慢性膵炎治療