セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-263:

糖尿病患者における糖尿病治療方法と膵癌発症リスク

演者 佐藤 江里(弘前大大学院・内分泌代謝内科学)
共同演者 丹藤 雄介(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 柳町 幸(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 田中 光(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 松本 敦史(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 今 昭人(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 中村 光男(弘前大・保健学科病因・病態検査学)
抄録 【目的】糖尿病は膵癌のリスクファクターとして知られており、危険率は1.8~2.1倍と報告されている。これまで我々は、膵癌を発症した糖尿病患者の自験例について検討しており、癌の家族歴、喫煙歴が糖尿病患者における膵癌の予測因子であること、膵癌診断までの1年間で体重減少および血糖コントロールの悪化がみられることを報告してきた。糖尿病患者における膵癌発症には、肥満、インスリン抵抗性、高インスリン血症などが関与するとされており、さらに、糖尿病の治療方法によっても膵癌発症のリスクが異なると考えられているが、明らかとはされていない。そこで今回我々は、自験例における糖尿病の治療方法と膵癌のリスクについて検討を加えたので報告する。【方法】1999年~2010 年に、当科で血糖コントロールを行った糖尿病合併膵癌患者33例を対象とした。糖尿病の治療方法および血糖コントロールの推移、膵癌発症年齢、膵癌による自覚症状、占拠部位、stage、治療方法、予後についてカルテ調査した。糖尿病の治療薬はそれぞれの種類、用量および累積使用量、膵癌診断直前の変更の有無などについて検討した。【結果】膵癌発症以前の糖尿病の治療方法は、食事・運動療法群が5例、経口血糖降下剤を用いた薬物療法群が15例、アナログ製剤を含めたインスリン自己注射療法群が13例であった。全体の平均年齢は67 歳、男17例、女16 例で、癌の家族歴と喫煙と高率に認めた。体重は膵癌発症前の1年間で約6 kg減少し、HbA1C は約2 %悪化していた。糖尿病の罹病期間で予後を比較すると罹病期間が長いほど予後不良の傾向であった。血糖コントロールの悪化が膵癌診断のきっかけとなった症例は7例で、血糖悪化後速やかに膵癌を診断された2例はstage II、IIIで予後も良好であった。【結論】糖尿病は膵癌のリスクであり、糖尿病の治療方法によっては膵癌発症リスクを軽減または加重させるため、今後の重要な検討課題であると考えられた。
索引用語 膵癌, 糖尿病