セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(基礎)

タイトル 消P-265:

食道扁平上皮癌における膜タンパク(Eカドヘリン、ベータカテニン)の関わり

演者 石黒 秀行(名古屋市立大・消化器外科)
共同演者 木村 昌弘(名古屋市立大・消化器外科), 舟橋 整(名古屋市立大・消化器外科), 若杉 健弘(名古屋市立大・消化器外科), 安藤 拓也(名古屋市立大・消化器外科), 小川 了(名古屋市立大・消化器外科), 塩崎 みどり(名古屋市立大・消化器外科), 竹山 廣光(名古屋市立大・消化器外科)
抄録 【背景・目的】食道扁平上皮癌は予後不良な悪性腫瘍の1つである。死亡率は依然高く、新たな診断および治療戦略が望まれている。Eカドヘリンは細胞接着に関わるタンパクであり、食道癌においてその減弱がリンパ節転移と関わることが知られている。一方ベータカテニンは細胞膜の裏打ちタンパクであり、Eカドヘリンと結合することが知られている。またWntシグナル伝達系の構成因子であり、大腸癌などにおいて核へ移行することが知られているが、食道癌において核への移行例は少なく、食道癌への関わりはいまだ不明のままである。【方法】1996年から2005年までの10年間での当科における術前未治療の食道癌切除症例86例で、Eカドヘリンとベータカテニンの免疫組織染色を行い、臨床病理学的因子(T因子、N因子、予後など)との検討を行った。【結果】細胞膜に発現しているものを陽性、減弱しているものを陰性とし評価検討を行った結果、Eカドヘリンの減弱はT因子N因子と逆相関がみられたが、予後とは有意差を認めなかった。またベータカテニンはT因子のみと逆相関を認めた。Eカドヘリンとベータカテニンがともに発現をしている+/+群(19例)、カドヘリンのみの減弱がみられた-/+群(12例)、ベータカテニンのみの減弱がみられた+/-(26例)、両者が減弱していた-/-群(29例)と群分けし、比較検討した。+/+群とそれ以外の群にわけて検討すると、T因子N因子と強い逆相関がみられ、ほかの群と比較して有意に予後良好であった。(p=0.0192)またT因子N因子とともに独立した予後因子であった。【結論・考察】Eカドヘリン、ベータカテニンはどちらか一方が減弱している症例は予後不良であった。ともに接着因子として機能するため、どちらか一方のタンパク発現低下により癌細胞の接着能が低下することが、原発巣からの遊離機序の一因と考えられ、予後不良の原因と示唆された。
索引用語 食道癌, 接着因子