セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(基礎)

タイトル 消P-266:

食道におけるプロスタグランジンE2及びEP1受容体と胸やけ症状との関連

演者 近藤 隆(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 大島 忠之(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 豊島 史彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 櫻井 淳(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 田中 淳二(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 富田 寿彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 福井 広一(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 渡 二郎(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 伊達 一郎(小野薬品工業(株)・研究本部水無瀬研究所), 古根村 崇(小野薬品工業(株)・研究本部水無瀬研究所), 岡田 啓希(小野薬品工業(株)・研究本部水無瀬研究所), 松本 譽之(兵庫医大・内科(下部消化管科)), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【背景】逆流性食道炎における胸やけ症状発現メカニズムには,食道内での炎症関連物質発現の関与が考えられているが詳細は明らかではない。プロスタグランジンE2(PGE2)は生体内で豊富に存在する炎症性メディエーターであり,特にEP1受容体を介して痛みの受容に関わっているとされている。そこで我々は、食道におけるPGE2/EP1受容体と食道内酸還流に伴う胸やけ症状との関与について検討した。【方法】上部消化器症状を有さない健常成人男性を対象とした。下部食道粘膜にカテーテルを留置し1%塩酸を8mL/minの速度で30min酸還流試験を行った(n=7)。コントロールとして生理食塩水を還流した (n=7)。酸還流前後で経鼻内視鏡を用い下部食道粘膜を生検鉗子で採取した。食道粘膜組織中のPGE2濃度(pg/mg protein)をELISA法で,EP1受容体の発現量をRT-PCR法、Western blotting法及び免疫組織化学法を用いて検討した。また知覚スコアとして,還流終了時の胸やけ症状の強さを1から13までのカテゴリー分類により評価した。【結果】健常成人の下部食道粘膜においてEP1受容体のmRNA並びにタンパクの発現が確認された。またその発現は,粘膜上皮並びに知覚神経終末が分布する粘膜固有層で認めた。一方,下部食道粘膜組織中のPGE2濃度は、酸還流により有意に高値を示した(還流前vs 還流後:23.2±8.6 vs 68.6±18.3,p<0.05)。また知覚スコアは,酸還流により有意に高値を示し(コントロールvs 酸還流:2.7±0.9 vs 9.3±1.2, p<0.05),下部食道粘膜組織中PGE2濃度と有意な正の相関を示した(p<0.05)。【結語】食道内への酸曝露によりPGE2産生が亢進し,食道内のEP1受容体を介して胸やけ症状誘発に関与することが示唆された。PGE2産生抑制剤あるいはEP1受容体拮抗剤は,胸やけ症状を治療する新たな創薬ターゲットになりうると考える。
索引用語 GERD, PGE2