セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(基礎)

タイトル 消P-267:

ラット慢性逆流性食道炎モデル群の食道重層上皮における微細構造変化の検討

演者 森 広樹(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科)
共同演者 小池 正人(順天堂大・神経生物学・形態学), 後藤 隆洋(甲子園大・栄養学), 小黒 雅子(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 浅岡 大介(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 永原 章仁(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 上野 隆(順天堂大・1生化学), 内山 安男(順天堂大・神経生物学・形態学), 渡辺 純夫(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科)
抄録 【目的】我々は、ラット慢性逆流性食道炎モデルを用い食道のタイトジャンクション(TJ)蛋白質の発現を検討し、Claudin-3発現量の変化がTJ構造変化に関与し、食道上皮透過性に影響を与えている可能性を報告してきた。そこで電子顕微鏡観察により、ラット食道上皮におけるTJの構造およびClaudin-3の局在を検討した。【方法】8週齢のSPF雄性ウイスターラットを用い、既報のように慢性酸型逆流性食道炎モデルを作成した。control群は、単開腹のみを施行した。両群ともに術後14日目に食道を採取し、粘膜のみを浸漬固定した。純形態観察では通常の超薄切片に加え、グリッドマップ法を組み合わせた凍結レプリカ法を改良した手法を用いてより詳細に比較検討した。Claudin-3の免疫電子顕微鏡法では凍結超薄切片法と凍結割断レプリカ膜を用いた。【成績】電子顕微鏡観察では、顆粒層にTJ構造物を認めた。観察されたTJ構造物は単層円柱上皮のものより構造が単純であった。食道炎群では、control群と比較しTJ構造物は減少していた。一方、凍結割断レプリカ観察では、典型的なTJストランド構造を認めなかった。免疫電子顕微鏡観察では、control群で以前の免疫光学顕微鏡観察と同様に食道上皮細胞の表面にClaudin-3染色を認めた。食道炎群では、control群と比較しClaudin-3染色は低下していた。両群で、Claudin-3のTJ構造物への局在的な染色は認めなかった。【結論】ラットの食道上皮おいて、Claudin-3は傷害時の鋭敏なマーカーであるが、TJ構造物の構成以外の機能に関与する可能性が示唆された。
索引用語 逆流性食道炎, タイトジャンクション