セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)1

タイトル 消P-273:

Fスケールを用いたGERD診療(耳鼻咽喉科とのコラボレーション)

演者 築根 陽子(東海大大磯病院・消化器内科)
共同演者 出口 隆造(東海大大磯病院・消化器内科), 澤本 佳奈(東海大大磯病院・消化器内科), 長田 成彦(東海大大磯病院・消化器内科), 沼田 誠(東海大大磯病院・消化器内科), 峯 徹哉(東海大付属病院・消化器内科)
抄録 消化器領域でGERD診療の際にFスケールを用いることは多いが、Fスケールの問診票には耳鼻咽喉科領域の症状も含まれており、当院では耳鼻咽喉科受診後(喉頭鏡にて所見なし)患者を対象にしたGERD診療も行っている。現在までに45例の上部消化管内視鏡検査を施行したところ、逆流性食道炎と診断されたのは40%(18/45)であり、60%(27/45)がNERDという結果であった。Fスケールの問診内容で点数が高かったのは、喉の違和感、ゲップ、喉のつかえ感であり、逆流性食道炎を有する群の平均値は12.3であり、NERD群の9.1と比較して高かった。いずれの症例も1ケ月後には酸分泌抑制剤の投与でFスケール値の低下がみられ、以降GERD症状の再燃がみられたのは数例であった。逆流性食道炎は、gradeM(10例)、gradeA(7例)、gradeB(1例)であり、食道裂孔ヘルニアを伴っていない群の18.52%(5/27)と比較してヘルニアを伴っている群では72.2%(13/18)と高率であった。胃粘膜萎縮の程度をclosed typeとopen typeの2群に分けて逆流性食道炎の頻度を比較した結果、前者が45.5%(10/22)、後者では34.8%(8/23)と胃酸分泌能が保たれていることも発症要因の一つと考えられた。NERD群をFスケール値8未満と8以上の群に分けて比較すると、食道裂孔ヘルニアは前者36.4%(4/11)、後者6.3%(1/16)であった。また、胃粘膜萎縮の程度でclosed typeの頻度は、前者54.5%(6/11)、後者37.5%(6/16)であり、GERD症状の発生には食道裂孔ヘルニアの有無や胃酸分泌能以外の要因も存在することが考えられた。結語:喉の症状を訴え喉頭に器質的病変を認めない患者群には逆流性食道炎を有している症例も多く、問診票を用いた耳鼻咽喉科との協調診療は今後のGERD診療に有用と思われた。
索引用語 GERD, F-scale