セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)1

タイトル 消P-276:

全身性強皮症(SSc)患者における胃食道逆流症(GERD)症状の検討

演者 下山 康之(群馬大・消化器内科)
共同演者 草野 元康(群馬大附属病院・光学医療診療部), 河村 修(群馬大・消化器内科), 保坂 浩子(群馬大附属病院・病態制御内科学), 川田 晃世(群馬大附属病院・病態制御内科学), 栗林 志行(群馬大附属病院・病態制御内科学), 前田 正毅(群馬大附属病院・病態制御内科学), 名越 淳人(群馬大附属病院・病態制御内科学), 茂木 文孝(群馬大附属病院・病態制御内科学), 堀越 勤(群馬大附属病院・病態制御内科学), 森 昌朋(群馬大・消化器内科)
抄録 【目的】以前よりわれわれはSScと食道運動およびGERDの検討を行ってきた。今回はSSc患者の自覚症状を問診票でより詳細に検討した。【方法】対象は当院皮膚科または腎臓リウマチ内科にて確定診断されたSSc患者52名(男性11名、女性41名、平均年齢58.8±12.7歳)である。全例当科は初診であり、酸分泌抑制剤や消化管運動改善剤は未投与であった。自覚症状の評価はFSSG問診票(Fスケール)を用いた。食道内圧検査はhigh resolution manometry(ManoScan、Sierra Scientific Instruments )にて行った。GERDの内視鏡分類は、全く粘膜に病変を認めないGrade N、およびGrade M (minimal changes)を加えたLA分類(改)を用い、Grade N、M、A以上(eGERD)の各群で、Fスケールのtotal score(F-T)、reflux score(F-R)、 dyspepsia score(F-D)を比較検討した。【結果】内視鏡所見はGrade N、M、eGERDがそれぞれ11、29、12例であった。各群でのFスケールの点数はF-T、F-R、F-Dのそれぞれが、Grade N(7±6.8、3.5±4.2、3.5±2.7、mean±SD)、Grade M(7±7.1、4.0±4.0、3.1±3.3)、eGERD(11.5±10.0、7±6.4、4.5±4.1)であり、群間で各スコアーとも有意差を認めなかった。食道内圧測定で食道体部での一次蠕動波高の低下を示したのは、Grade N 73%(8/11)、Grade M 76%(22/29)、eGERD 100%(12/12)であり、eGERDのみならずGrade N、Mでも食道運動障害を多く認めた。【結論】SSc患者ではeGERDでもGERD症状にばらつきがあり、知覚神経系に障害がある可能性がある。内視鏡所見が正常のSSc患者でFスケールが高値であったが、これはFスケールが食道運動障害に起因する症状を捕らえているため、と考えられた。
索引用語 強皮症, GERD