セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)2

タイトル 消P-277:

血清ペプシノゲン値と抗H. pylori抗体価を用いたGERDの病態解析

演者 榎本 祥太郎(和歌山県立医大・2内科DELIMITER和歌山健康センター)
共同演者 吉田 岳市(和歌山県立医大・2内科DELIMITER和歌山健康センター), 渡邉 実香(和歌山県立医大・2内科DELIMITER和歌山健康センター), 森畠 康策(和歌山県立医大・2内科), 村木 洋介(和歌山県立医大・2内科), 新垣 直樹(和歌山県立医大・2内科), 出口 久暢(和歌山県立医大・2内科), 上田 和樹(和歌山県立医大・2内科), 井上 泉(和歌山県立医大・2内科), 前北 隆雄(和歌山県立医大・2内科), 井口 幹崇(和歌山県立医大・2内科), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科), 茂原 治(和歌山健康センター), 一瀬 雅夫(和歌山県立医大・2内科)
抄録 【背景】胃癌やGERDなどの上部消化管疾患の病態を考える上で、背景となるH. pylori(HP)関連慢性胃炎との関連を無視できない。演者らは、血液検査(血清ペプシノゲン(PG)とHP抗体価)による慢性胃炎ステージ分類にて、ステージ進展に伴う段階的な胃癌発生率の上昇や、逆流性食道炎(RE)有所見率と酸逆流症状の低下を報告した[Int J Cancer 2004; 109, World J Gastrointest Endosc 2011; 3]。血清PG I値やPG I/II比は胃粘膜萎縮進展の指標として有用であり、血清PG II値やHP抗体価は胃粘膜炎症の活動性を示すと考えられている。今回、各血液検査値とREとの関連につき検討した。【方法】内視鏡検査と血液検査(血清PG検査とHP抗体価)を施行した1165人のうち、HP除菌例を除いた825例で検討した。対象は、A群[HP(-)PG(-)]、B群[HP(+)PG(-)]、C群[HP(+)PG(+)]、D群[HP(-)PG(+)]の4群に分類した。各群別でREの有無により、血清PG I値、 PG II値、 PG I/II比、HP抗体価につき検討した。【結果】全対象では、RE(+)が15.8%、RE(-)が84.2%であった。RE(+)例では、血清PG I/II 比が有意に高く(p<0.001)、血清PG II値とHP抗体価が有意に低値であった(p<0.001)。HP感染陽性例では、RE(+)例で、血清PG I/II比が有意に高く(p<0.001)、HP抗体価が有意に低値であった(p<0.05)。各群別では、B群において、RE (+)例でHP抗体価は有意に低値で(p<0.05)、血清PGII値も低い傾向があり(p=0.09)、PG I/II比は高い傾向があった(p=0.07)。A群、C群、D群ではREの有無により検査値に有意差はなかった。【結論】 REと慢性胃炎との関連では、胃粘膜の萎縮進展だけでなく、慢性胃炎の活動性も重要である。特に、慢性胃炎ステージ分類で、HP感染陽性で萎縮進展のないB群では、RE(+)例でHP抗体価や血清PG II値が低い、すなわち慢性胃炎の活動性が低いと考えられる例が多かった。
索引用語 ペプシノゲン, ヘリコバクターピロリ