セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)2

タイトル 消P-279:

GERD患者のPPI治療反応性に影響を及ぼす要因と上腹部症状(GERD/FD)、内視鏡所見(ERD/NERD)への背景因子の影響に関する検討(GERD研究会中間報告)

演者 中田 浩二(東京慈恵会医大・消化管外科)
共同演者 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 樋口 和秀(大阪医大・2内科), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 【背景】プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃食道逆流症(GERD)治療の第一選択薬として用いられている。一方、日常診療ではPPIの治療効果が乏しい患者をしばしば経験するが、その要因は明らかではない。【方法】2011年4月~2012年7月に試験参加56施設を受診した成人患者のうち、モントリオール定義に基づくGERD症状を有し、文書による同意が得られた患者を対象とした。内視鏡で食道炎の有無を確認後、標準用量のPPI(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール)を4週間投与し、投与開始時、投与2週後、4週後にそれぞれGERD-TEST(本試験用に策定した調査票)、HADS、SF-8を用いたアンケートを実施して症状、不安・抑うつの度合及びQOLの変化を調査した。【結果】2012年1月末時点で回収された調査票を解析対象とした。初回アンケート回収済194人(男性115人、女性79人)の年齢、BMIの平均は、それぞれ57.5歳、23.8kg/m2であった。うち、症例報告書回収済73人の内視鏡所見は、びらん性GERD(ERD)48人(66%)、非びらん性GERD(NERD)25人(34%)であった。治療前GERD-TESTより算出したGERD症状スコア(-SS)は平均3.3、FD-SSは平均2.9(高い程症状が重い)であり、多変量解析の結果、GERD-SSでは女性、若年、高BMIが、FD-SSでは女性、若年が高スコアとなる有意な影響因子であった。内視鏡所見と背景因子の関係は、ERDでは有意にBMIが高く、NERDでは有意に女性が多かった。第3回までのアンケート回収済152人について、患者印象に基づく症状改善の有無で治療反応性を定義したところ、治療反応性あり108人(71%)、なし44人(29%)であった。治療反応性なしの要因を多変量解析で検討したところ、女性、HADSの抑うつスコア高値が有意な影響因子であった。今後は解析対象を増やし、食道炎の有無や心理的要因が治療反応性に与える影響等を検討する予定である。
索引用語 胃食道逆流症, プロトンポンプ阻害薬