セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)2

タイトル 消P-280:

GERDに対するPPI治療効果の実態/GerdQ・Fスケール・GSRSを用いた検討

演者 豊川 優季(京都第一赤十字病院・消化器科)
共同演者 陶山 遥介(京都第一赤十字病院・消化器科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院・消化器科), 田中 信(京都第一赤十字病院・消化器科), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院・消化器科), 川上 巧(京都第一赤十字病院・消化器科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院・消化器科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院・消化器科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院・消化器科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院・消化器科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院・消化器科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院・消化器科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院・消化器科), 高顕 純平(京都第一赤十字病院・健診部), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】GERDでは、内視鏡的に明らかな食道炎の所見がなくても症状を有する場合もあり、医師による客観的な症状評価が難しいとされる。今回、客観的に症状の頻度と治療効果が評価できるGerdQ及びFスケール、QOLを評価できるGSRS日本語版を用いてGERD患者に対するPPIの治療効果の実態を検討した。【方法】逆流性食道炎またはNERDでPPIを継続投与している患者47例を対象とした。2011年6月から2011年8月の期間、外来診察時にGerdQ問診票の日本語版、FスケールおよびGSRS日本語版を患者に記入してもらい評価した。【成績】PPIが投与された47例中8例(17.0%)がPPIの治療効果不十分と判定された。PPI治療効果不十分群では、Fスケールトータルスコアが16.00±7.93と治療効果十分群のスコア6.08±4.95に比べ有意に高かった。さらに、Fスケールの酸逆流関連症状と消化管運動不全症状ともに治療効果十分群よりも有意に高いスコアを示した。GSRSの総合スコアにおいても治療効果不十分群のスコアは2.74±0.67と治療効果十分群のスコア1.67±0.48に比べ有意に高く、酸逆流、腹痛、消化不良、下痢、便秘の下位尺度すべてにおいて治療効果不十分群でGSRSスコアが有意に高かった。下位尺度の中では「便秘」が最も高い値(3.71±1.37)を示し、また両群間のスコアの差が最も大きかった。【結論】PPI治療効果の実態調査でGerdQにて効果不十分と判定されたGERD患者では、酸逆流症状だけでなく、消化管運動不全症状の持続及び消化管全般のQOLが低下していた。従って、治療効果不十分例に対しては、逆流症状だけではなく、食道知覚過敏や食道運動低下の病態、種々の背景因子などを総合的に勘案して治療方針を確立することが必要である。今回の検討より、GerdQ問診票は治療効果を評価する有用なツールになり得ると考えられた。
索引用語 GERD, GerdQ