セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性疾患)2

タイトル 消P-283:

男女別にみたGERDの要因、治療効果について

演者 櫻井 宏一(熊本大大学院・消化器内科学)
共同演者 村尾 哲哉(国立熊本医療センター・消化器内科), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】人間ドック受診者を対象にGERD(NERD:Non-erosive gastritis, ERD: Erosive gastritis)の発生因子を男女別に解析すると共に、逆流性食道炎(ERD)に対するPPIの効果の男女差についても検討した。【対象と方法】人間ドック受診者で同意を得られた2853名(男性1975名、女性878名、平均年齢56.7歳)とPPI服薬中のERD患者136例を対象とした。QUEST問診表に加え、喫煙・飲酒、緑茶やコーヒー摂取の有無、食生活に関する調査、睡眠時間、運動の頻度、BMI、食道炎、胃粘膜萎縮、食道ヘルニアの有無を聴取し、PPI服薬中のERD患者はGERDQの問診表にて評価した。【結果】GERDは人間ドック受診者では男性24.0%(ERD;14.2%、NERD;9.5%)、女性22.6%(ERD;4.7%、NERD;17.9%)に認められ、NERDは女性に多い傾向にあった。GERDの寄与因子として、多変量解析ではBMI、食道ヘルニア、運動不足、緑茶を飲むことが挙げられ、男女別では、男性ではGERDで食道ヘルニア、ERDでBMI、食道ヘルニア、萎縮(-)、喫煙あり、NERDで睡眠時間が少ないことが、女性ではGERDで年齢、食道ヘルニア、運動不足、ERDで食道ヘルニア、NERDで運動不足が関連因子として挙がった。一方、PPI服用しているERD患者の逆流症状の残存割合は49.3%で、効果不充分例の背景因子としては、65歳以上の女性が有意に多く(p<0.05)、喫煙、飲酒、PPIの投与量・種類別・服薬頻度・服薬期間に有意差は認めなかった。【考察】GERDの要因における性差を比較検討した結果、女性で年齢、運動不足が挙げられた。女性では年齢が高齢であるほどGERDになりやすく、またPPIの治療効果が得られにくいことが明らかになった。女性特有の要素として閉経にともなうホルモン分泌の変化の関与も疑われたが、今回の検討では閉経年齢とGERDとの関連はみられなかった。従って、内臓脂肪の増加や、亀背などによる腹圧の上昇など数値で示せない因子の関与が考えられた。
索引用語 GERD, 性差