セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)食道・咽頭(良性疾患)3 |
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タイトル | 消P-285:好酸球性食道炎および好酸球性胃腸炎患者における血中サイトカインの上昇と病態との関連 |
演者 | 石村 典久(島根大・2内科) |
共同演者 | 古田 賢司(島根大・2内科), 石原 俊治(島根大・2内科), 木下 芳一(島根大・2内科) |
抄録 | 【目的】好酸球性食道炎(EoE)の発症にTh2系の免疫応答が関連していることが報告されているが、好酸球性胃腸炎(EGE)の病態の解明はまだなされていない。今回、本邦におけるEoEおよびEGEの病態にTh2サイトカインが関連しているか否かを明らかにする目的で以下の検討を行った。 【方法】厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業としてEoEおよびEGEの全国疫学調査を行ったが、この際登録されたEoE18例、EGE18例を対象とし、これまでに病態との関連が報告されているthymic stromal lymphopoietin (TSLP), IL-5, IL-13, IL-15, eotaxin-3の血中濃度を測定した。健常成人30例をコントロール群とした。また、両疾患群の臨床的特徴と血中サイトカイン濃度との関連についても検討した。さらにステロイド治療が行われた前後で採血を行った3症例においては、治療前後のサイトカイン濃度の変化についても解析を行った。 【結果】EoEおよびEGEでは血中IL-5とIL-15濃度の上昇例がコントロール群に比して有意に多く認められた。また、IL-5とIL-15濃度は末梢血好酸球数との間に相関を認めた。これらのサイトカイン濃度の上昇はEoEに比してEGEにおいてより高い傾向が認められたが、上昇を認めない例も見られた。上昇例と非上昇例において年齢・性別・アレルギー疾患の既往などの臨床的特徴に差は認めなかった。一方、TSLP、IL-13、eotaxin-3濃度は疾患群とコントロール群で有意な差は見られなかった。またこれらのサイトカインと末梢血好酸球数との間に相関を認めなかった。ステロイド治療を行った3例は、いずれも治療の前後でサイトカイン濃度の有意な変化は見られなかった。 【結論】EoEおよびEGEの両群において血中IL-5及びIL-15の上昇が同様に認められたことから、EGEの病態にもこれらのサイトカインの上昇が関連していることが示唆された。しかしながら、コントロール群と差の認めない症例も多くみられ、診断的有用性については制限があると考えられた。 |
索引用語 | 好酸球性食道炎, 好酸球性胃腸炎 |