セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性疾患)1

タイトル 消P-289:

食道癌の術前CT診断

演者 長島 礼奈(東海大八王子病院・放射線科)
共同演者 山本 壮一郎(東海大八王子病院・外科), 山崎 正志(東海大八王子病院・外科), 田島 隆行(東海大八王子病院・外科), 幕内 博康(東海大八王子病院・外科)
抄録 【目的】食道癌治療において手術適応の可否の要因となる壁深達度とリンパ節転移について,術前画像診断を検討する.
【方法】2011年4月から2012年2月までに,当院の64列multidetector-row CTにて術前CTを施行し,三領域リンパ節郭清を含む外科的根治術を施行された食道癌症例17例において,食道癌取扱い規約 第10版に基づく壁深達度(T),リンパ節転移の程度(N,リンパ節群での評価)の正診率を検討し,特に手術適応決定要因となるT4について検討した.術前に化学療法を施行した2例は術直前に再評価を行った.
【成績】術前CTから手術施行日までの中央値は21.5日で,最短は6日,最長は49日であった.食道癌主病変の主占拠部位は,Ce1例,Ut2例,Mt8例,Lt5例,Ae1例であった.壁深達度の正診率は47%(17例中8例)であった.T4の症例は計5例で,うち3例を正診できた.食道主病巣がT4であった症例は2例で,うち1例はnT4でもあり,食道主病巣及びリンパ節転移巣の浸潤を術前に診断できたが,もう1例は食道主病巣の壁深達度をT3と浅く診断していた.リンパ節転移巣が食道以外の臓器に浸潤したnT4症例は3例で,うち2例は術前に診断できた.リンパ節転移の程度については,補正ありで,感度61.5%、特異度75%,正診率64.7%であった.リンパ節転移を認めなかったpN0症例は17例中4例であった.
【結論】食道原発巣がT4であった2例のうち,術前に正診できた症例は主占拠部位がMtであったが,正診できなかった1例は主占拠部位がLtであり,CT撮影時の心拍動の影響や,浸潤臓器であった肺静脈は大動脈や気管に比べ壁が薄く,浸潤の有無についての判定に際してはMRIや心電図同期CTを追加する必要があったと考えられた.NT4症例のうち術前に診断できなかった症例は,術前CT診断はT3N4(2c)であったが,CT検査から手術施行日まで31日経過しており,術直前に再検が必要であったと思われた.
索引用語 食道癌, CT診断