抄録 |
【背景】食道癌術後において局所やリンパ節の再発時に対し,化学放射線療法(CRT)が選択されるが,有害事象や奏効率の問題などにより併用化学療法の選択に苦慮する.当院では,併用化学療法としてWeekly Docetaxel(W-DOC)を選択し,外来主体で治療を行うケースも存在する.【目的】当院で根治的に施行しているW-DOC併用CRT症例をretrospectiveに検討し,その安全性・有効性について考察した.【対象】2000年から2010年までに当科で食道扁平上皮癌にて根治術を施行,術後再発をきたしCRTを行った81例を対象とし併用化学療法別の奏効率,長期予後,有害事象についてretrospecitveに検討した.【適応】再発部位が局所あるいはリンパ節で照射範囲が狭く,根治治療になりうると当院のCancer Boardにて決定された症例に対して治療は行った.【併用化学療法】Weekly DOC(W-DOC):Docetaxel 10mg/m2を放射線開始時より週1回施行.High dose FP(HDFP): 5-FU 700 mg/m2,CDDP 14mg/ m2を1日目,28日目から5日間投与.Low dose FP(LDFP): 5-FU 200mg,CDDP 5mgを放射線に同期して施行.放射線療法は照射量を60 - 66Gy,照射野は再発部位とした.【結果】内訳:W-DOC/HDFP/LDFP=42/16/23例.治療成績:奏効率はW-DOC/HDFP/LDFP=72/53/52%であった.50%生存期間(月)は15/17/10ヶ月(N.S.),1生率(%)は53/53/36であった.有害事象:Grade3以上の有害事象に関してLDFPでは瘻孔1例,肺炎4例に認め,HDFPでは瘻孔1例,肺炎2例,出血を1例に認めた.W-DOCは1例に肺炎を認めたのみであった.【まとめ】術前後の補助化学療法が主体となった状況下で,術後再発症例に対するW-DOC併用CRTは有害事象においても,治療成績の点でも有効な治療の1つであることが示唆された. |