セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性疾患)2

タイトル 消P-297:

内視鏡的切除を施行した食道胃接合部腺癌の臨床病理学的検討

演者 山本 桂子(恵佑会札幌病院・消化器内科)
共同演者 小平 純一(恵佑会札幌病院・消化器内科), 大橋 広和(恵佑会第2病院), 岡原 聡(恵佑会第2病院), 吉井 新二(恵佑会札幌病院・消化器内科), 松本 岳史(恵佑会第2病院), 高橋 宏明(恵佑会第2病院), 穂刈 格(恵佑会札幌病院・消化器内科), 塚越 洋元(恵佑会札幌病院・消化器内科), 奥田 博介(恵佑会札幌病院・腫瘍内科), 西田 靖仙(恵佑会札幌病院・外科), 木下 義宏(恵佑会札幌病院・外科), 細川 正夫(恵佑会札幌病院・外科)
抄録 【目的】近年、食道胃接合部癌の増加が懸念され注目されている。特に腺癌は通常の胃癌とは異なる臨床背景を持つことが指摘されているが、詳細な検討は少ない。その臨床病理学的特徴を明らかにするため、内視鏡治療を行った早期病変を対象とし、背景粘膜を含めた検討を行った。【方法】接合部癌の診断は胃癌取扱い規約第14版および食道癌取扱い規約第10版の定義に準じた。当院において2005年1月から2010年12月までに内視鏡的切除を行った食道胃接合部癌は67症例72病変であった。そのうち、扁平上皮癌7病変と同一症例の局所再発5病変を除外した食道胃接合部腺癌60症例60病変を対象として臨床病理学的特徴と背景粘膜について検討した。【結果】対象症例は、男性51例女性9例と男性が多く、平均年齢は70.1歳であった。EMR3病変、ESD58病変で全例一括切除であった。隆起型34例、平坦型3例、陥凹型23例、組織型は分化型55例、分化未分化混合型5例、純粋未分化型は見られなかった。深達度はm43例、sm17例であった。分化未分化混合型はすべてsm浸潤癌であり、最深部は未分化型もしくはtub2成分であった。病変の局在別に検討すると、G領域のものはE, EG, GEと比較して患者年齢が高く、病変のサイズが大きい傾向があった。さらに背景の慢性炎症、好中球浸潤、腸上皮化生が強く、内視鏡的萎縮も顕著であった。E領域のものは全例バレット粘膜(LSBE2例、SSBE5例)がみられ、患者年齢が低く、萎縮、炎症が弱い傾向があった。【結論】G領域の症例は、H.pylori感染に起因する胃癌の背景と類似しており、解剖学的位置に基づいた接合部癌における現行の定義では、特にG領域で異なった背景を持つ癌がまとめられている可能性があると考えられた。
索引用語 食道胃接合部腺癌, 臨床病理学的特徴