セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性疾患)2

タイトル 消P-298:

当院における食道ESDの長期予後

演者 濱中 潤(NTT東日本関東病院・消化器内科)
共同演者 大圃 研(NTT東日本関東病院・消化器内科), 小豆島 銘子(NTT東日本関東病院・消化器内科), 大野 亜希子(NTT東日本関東病院・消化器内科), 伊藤 高章(NTT東日本関東病院・消化器内科), 千葉 秀幸(NTT東日本関東病院・消化器内科), 辻 陽介(NTT東日本関東病院・消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科)
抄録 【背景】近年食道ESDは全国的にも普及しつつあるがその長期予後の解析は十分とはいえない。【対象】2007年6月から2009年3月までに食道扁平上皮癌に対しESDを施行し、3年間の追跡が可能であった38症例(42病変)を対象とし適応内(EP-LPM)相対適応(MM-SM1)適応外(SM2以深)に分類しその臨床的特徴と長期予後を遡及的に検討した。【結果】背景は男/女:34/4例、年齢64.7±8.8歳、占拠部位はUt8Mt31Lt3病変、切除標本平均36.1(7-73)mm、切除病変平均26.0(5-64)mm、深達度は適応内がEP20/LPM12(76.1%)相対適応がMM8(19.0%)、適応外SM2が2(4.8%)であった。全例一括切除、40/42病変(95.2%)で一括完全切除が得られ、側方断端陽性はMM1例、深部断端陽性はSM2が1例だった。偶発症は穿孔2例、肺炎1例でいずれも保存的に軽快した。術後狭窄5例にバルーン拡張術を施行(中央値7回、range5-14回)、観察期間中央値47か月(36-57ヵ月)、追跡率は100%であった。術後適応内病変は全例経過観察、相対適応病変については追加治療を呈示した後MM8例中2例放射線治療(1例ly陽性)、6例経過観察、一方SM2病変は手術を勧めた1例は放射線化学療法(CRT)後に追加手術、1例はCRT単独を選択された。観察期間中、局所遺残再発0例、リンパ節転移0例、遠隔再発0例、異時性多発癌(初回切除より1年以上経過)は3例4病変(1-2年:1病変、2-3年:2病変、3年以降;1病変)で、いずれも追加ESDで治癒切除となった。異時性他臓器癌は延べ人数で胃癌6例、喉頭癌6例、下咽頭癌3例であった。他病死は2例(他臓器癌1例、心不全1例)認めいずれもMM症例であった。原病死は0例で適応内病変群とMM以深群に分けKaplan-meier法でのoverall survivalは100%、80%でLogrank検定ではp=0.015と有意差を認めた。【考察と結論】食道ESDは原病死や重篤な偶発症がなく良好な成績であった。しかし食道癌は他臓器癌を併発していることも少なくなく、このような患者に対する追加治療の適否は個別対応が必要であると思われた。
索引用語 食道ESD, 長期予後