セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(症例報告/その他)

タイトル 消P-300:

嚥下困難症例に対するHigh-resolution manometryによる食道運動機能評価

演者 星野 真人(東京慈恵会医大・消化管外科DELIMITERCreighton University Medical Center)
共同演者 小村 伸朗(東京慈恵会医大・消化管外科), 矢野 文章(東京慈恵会医大・消化管外科), 坪井 一人(東京慈恵会医大・消化管外科), 山本 世怜(東京慈恵会医大・消化管外科), 秋元 俊亮(東京慈恵会医大・消化管外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医大・消化器外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・消化器外科), S.  Mittal(Creighton University Medical Center)
抄録 【背景と目的】嚥下困難を主訴とする患者に対して、これまでに食道運動内圧検査や食道内インピーダンスpHモニタリング検査などでその病態が評価されてきた。今回われわれは、HRMを用いて嚥下困難を認める患者の食道運動機能評価を行った。【対象と方法】Creighton University Medical CenterにおいてHRMと上部消化管内視鏡検査を施行した症例の中で、胃食道逆流症もしくは食道運動機能障害が疑われた113例(男性38例、平均年齢51.8±15.6歳)を対象とした。嚥下困難の有無は症状の程度を なし、軽度、中等度 、高度の4段階評価した。サブセット解析のため、患者を以下の3つのグループに分類した。すなわちGroup A(嚥下困難なし、不完全収縮波の割合が60%未満)69例、Group B(嚥下困難あり、不完全収縮波の割合が60%未満)33例、Group C(症状の有無を問わず不完全収縮波の割合が60%以上)11例であった。検定はp<0.05をもって統計学的有意差ありと定義した。また嚥下困難を規定する因子をロジスティック回帰分析によって抽出した。【結果】113例中、40例(35%)に嚥下困難を認めた。嚥下困難の有無で両者を比較すると、嚥下困難を有する患者は高lower esophageal sphincter pressure integral (LESPI:482 vs 210 mmHg-s-cm、p=0.048)、高distal contractile integral (DCI:3,260 vs 2,004 mmHg-s-cm、p=0.034)であった。ロジスティック回帰分析では、LESPI>400 mmHg-s-cm、DCI>3,000 mmHg-s-cm、60%以上の不完全収縮波が嚥下困難を有する規定因子として抽出された。Group BはGroup Aに比べ高LESPI、DCIであった(いずれもp<0.05)。Group CはGroup A及びBに比べ低DCIであった(いずれもp<0.05)。【結語】嚥下困難を有する患者には食道の蠕動不全(60%以上の不完全収縮波)と排出障害(高LESPI、高DCI)という2つのメカニズムが関係することが示唆された。
索引用語 High-resolution manometry, 嚥下困難