セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(症例報告/その他)

タイトル 消P-306:

当院で経験したLSBE症例の検討

演者 宮崎 慎一(鳥取生協病院・内科)
共同演者 大廻 あゆみ(鳥取生協病院・内科), 森田 照美(鳥取生協病院・内科), 上萬 恵(鳥取生協病院・内科), 岡田 睦博(鳥取生協病院・内科), 鈴木 一則(鳥取生協病院・外科), 竹内 勤(鳥取生協病院・外科)
抄録 【目的】欧米ではBarrett腺癌の増加が著しく、本邦においても報告例が増加している。その背景となるBarrett食道は全周性3cm以上のLSBE(long segment Barrett’s esophagus)とそれ以下の長さのSSBE(short segment Barrett’s esophagus)に分けられ、前者の方が発癌ポテンシャルの高いことがわかってきた。よって、当院で経験したLSBE症例の臨床的特徴について検討した。【方法】2008年3月~2011年12月の期間に当院で上部消化管内視鏡検査を施行した9343例において、16例(0.17%)のLSBE症例が発見された。これらにおける年齢、男女比、BMI、飲酒歴(連日の飲酒)、喫煙歴、発見前のPPIまたはH2ブロッカー投与、GERD症状、LES圧低下を来す薬剤(Ca拮抗薬、β遮断薬、テオフィリン製剤、亜硝酸薬、抗精神薬)の投与、裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、バレット潰瘍、バレット腺癌、胃粘膜萎縮、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の有無について検討した。【成績】平均年齢は65.4歳、男女比は10:6、平均BMIは22.6、飲酒歴のあるものは6例、喫煙歴を有するものは8例であった。既にPPIが投与されていた症例は9例であり、GERD症状を有する症例は7例であった。LES圧を下げる薬剤は11例に投与されており、薬種ではベンゾジアゼピン類が7例、Ca拮抗薬が4例と多かった。裂孔ヘルニアは全例に認め、幕内分類のヘルニアBが12例と最も多かった。食道炎を有する症例は9例であり、ロサンゼルス分類Grade Aが4例と最多であった。バレット潰瘍瘢痕が1例に認められ, バレット腺癌は1例(6.3%)に認められた。胃粘膜は15例でclose typeであり、胃潰瘍は1例のみに認め、十二指腸潰瘍例は見られなかった。何らかの精神疾患を有する患者が10例と多くみられた。【結論】諸家の報告どおり、LSBEは高齢の男性に多くみられた。平均BMIは22.6であり、肥満の関与は少ないと思われた。喫煙、精神疾患がLSBEの発生に大きく寄与している可能性が示唆され、後者は抗コリン作用を有する薬剤の投与が関与しているものと推測された。
索引用語 LSBE, 臨床的特徴