セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-312:

ヒト胃がん移植モデルマウスに対する抗癌剤内包ミセル製剤の併用投与の検討

演者 山本 祥之(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部DELIMITER筑波大大学院・消化器内科学)
共同演者 兵頭 一之介(筑波大大学院・消化器内科学), 安永 正浩(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部), 古賀 宣勝(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部), 松村 保広(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部)
抄録 【目的】腫瘍組織へより多くの薬剤を集めると同時に臓器毒性による副作用軽減を目的とするDDS(Drug Delivery System)製剤は非常に有用な剤型である。抗癌剤内包ミセル製剤の有効性は今までに多くの動物実験において実証されており、現在臨床応用を目指し複数の臨床試験が進行中である。しかし、ミセル製剤の併用効果に関しての報告は乏しい。今回、新規DDS製剤のエピルビシン内包ミセル製剤であるNC-6300を用いて、ダハプラチン(オキサリプラチンの活性体)内包ミセル製剤であるNC-4016との併用投与についてヒト胃がん移植モデルマウスを対象に検討を行った。【方法】最初にエピルビシンとオキサリプラチンの組み合わせおよびNC-6300とNC-4016の組み合わせについて、in vitroでの併用投与による相乗効果の有無について検討を行った。各薬剤のIC50値の濃度比固定型のCombination Indexを算出し評価した。次にin vivoにおける併用効果を検討するためにBALB/cヌードマウスの背側皮下にヒト胃がん細胞株44As3を注入し皮下移植モデルを作製した。NC-6300(8mg/kg)とNC-4016(4mg/kg)の併用投与群に加え、対照群として等用量のエピルビシンとオキサリプラチンの併用投与群を設定した。薬剤は週1回、計3回経静脈的に投与した。治療効果は経時的にノギスで腫瘍径を測定し腫瘍体積を算出することで評価した(n=5)。【成績】in vitroでの併用効果をCombination Indexを用いて検討したところ、従来の抗癌剤の併用において相乗効果を示した。加えてミセル製剤の併用においても同等の相乗効果を示した。in vivoでの検討においては従来の抗癌剤の併用群に比較しミセル製剤併用群は著明な抗腫瘍効果を示した。体重の推移に関しては両群間で有意な差を認めなかった。【結論】ヒト胃がん移植モデルマウスに対しNC-6300とNC-4016の併用投与は従来の抗癌剤の併用投与と比較し強い抗腫瘍効果を示した。
索引用語 DDS, エピルビシン