セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-313:

転写因子ETV1のよるPDGFRA発現とMAPK活性化の新しい知見

演者 舩坂 好平(名古屋大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 古川 和宏(名古屋大大学院・消化器内科学), 鶴留 一誠(名古屋大大学院・消化器内科学), 山本 富美子(名古屋大大学院・消化器内科学), 松崎 一平(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大附属病院・光学医療診療部DELIMITER名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 背景:消化管間葉系腫瘍(GIST)の発生・増殖にkit遺伝子が中心的な役割を果たしていることは明らかである。しかしGISTの病態から、kit遺伝子以外にも、何らかの因子が関与することが示唆されてきた。2010年Nature誌に転写因子ETV1がGIST増大に関与すると報告があり注目されている。当院の検討でもGISTにおいてETV1高発現を確認したが、腫瘍形成における役割は不明である。目的:c-kitおよびETV1がシグナル伝達および遺伝子発現へ及ぼす影響をin vitroで評価し、腫瘍形成、増殖における役割を検討する。方法:c-kit変異型(kitMT)、野生型(kitWT)およびETV1を2種類の細胞株へトランスフェクションし、c-kit、PDGFRA、ETV1のmRNA 発現変化を定量的real-time PCRで比較し、kit関連シグナルをウエスタンブロット法(以下WB)で検討した。結果: kit(MT/WT)を強制発現させたが、ETV1のmRNA発現量は変化しなかった。またWBではETV1の検出はできなかった。逆にETV1を強制発現させてもkit発現量は不変であった。PDGFRAmRNA発現はkit発現の有無に関わらず、ETV1強制発現により著明に亢進していた。WBでは、kitMTでリン酸化kitの著明な亢進を認めたが、下流のシグナルであるAKTは変化なくMAPKでわずかに亢進していた。しかしETV1を発現させるとMAPKリン酸化はcontrol、kitWTでもkitMTと同じレベルまで亢進しており、この変化は血清を取り除くことで消失した。つまりETV1発現が清刺激を介して間接的にMAPKを亢進させていることが示唆された。PDGFRA発現が著明に亢進したことからPDGF刺激が関与している可能性を検討中である。結論: PDGFRAは転写因子ETV1により発現が調整されMAPKシグナルを増強することにより腫瘍形成に関与していることが示唆された。
索引用語 GIST, ETV1