セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(機能性疾患)

タイトル 消P-314:

六君子湯の上部消化管症状に対する臨床効果の検討

演者 佐藤 真司(済生会横浜市東部病院・消化器内科)
共同演者 佐藤 綾(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 馬越 智子(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 米田 将隆(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 建持 岳史(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 大久保 雄介(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 森 孝之(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 牧野 博之(済生会横浜市東部病院・消化器内科), 山室 渡(済生会神奈川県病院・消化器内科)
抄録 【背景】漢方薬は本来心身の状態を決定する証に基づいて投与すべき処方が決定されるが、六君子湯(TJ-43)はfunctional dyspepsia(FD)やnon-erosive reflux disease(NERD)など上部消化管に対する効果のエビデンスの報告が集積されてきている。一方、一般臨床では漢方診断の難しさからいわゆる病名漢方で処方されることも少なくない。病名漢方は証を必ずしも反映しないため治療効果にばらつきが出やすくなるものと考えるが、エビデンスのある漢方薬については証によらず一定の治療効果が出やすいとも考えられる。一般にTJ-43の証は虚証に用いる補気剤で、特に脾胃気虚とされる(華奢で元気のない中高年女性があてはまる)。【目的】我々はTJ-43の上部消化管症状に対する治療効果および漢方学的「証」により治療効果に差があるか比較検討した。【対象および方法】2011年12月~2012年3月まで上部消化管症状を有する患者20人(男7、女13、平均年齢59歳)に対してTJ-43を7.5gを分3で食前経口投与した。内服と並行して可能な限り上部消化管内視鏡、腹部超音波検査、腹部CTなどを行い器質的疾患の除外を行った。内服開始2週間以上経過してから症状の経過を患者から聴取した。また証については客観性のある指標として性別・年齢・体格(BMI)について検討した。【結果】(1)TJ-43の有効率について著効7例、有効7例、無効6例、悪化0例で有効率は70%であった。治療に伴う副作用は認めなかった。(2)証について性別・年齢・BMIのいずれにおいても有効例と無効例の間に統計学的優位差は認められなかった。【結論】TJ-43は上部消化管症状に対して広く効能が得られ、副作用なく使用できた。また証については必ずしも必要ではなく、一般薬剤と同様に安全に使用できると考えられた。
索引用語 六君子湯, 上部消化管症状