セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(機能性疾患)

タイトル 消P-315:

ディスペプシア患者における器質的疾患の合併率とその危険因子に関する検討

演者 塚本 真知(川崎医大・総合診療科)
共同演者 眞部 紀明(川崎医大・内視鏡・超音波センター), 藤田 穣(川崎医大・消化管内科), 松本 啓志(川崎医大・消化管内科), 今村 祐志(川崎医大・内視鏡・超音波センター), 垂水 研一(川崎医大・消化管内科), 山下 直人(川崎医大・総合診療科), 鎌田 智有(川崎医大・消化管内科), 塩谷 昭子(川崎医大・消化管内科), 楠 裕明(川崎医大・総合診療科), 本多 啓介(川崎医大・総合診療科), 井上 和彦(川崎医大・総合診療科), 畠 二郎(川崎医大・内視鏡・超音波センター), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 【背景】機能性ディスペプシアの診療では,器質的疾患の除外が重要であるが,ディスペプシア患者の器質的疾患の合併率について多数例での検討は少なく,また器質的疾患に関連する消化器症状についての報告はない.【目的】消化器内科外来を受診した患者の器質的疾患の合併率を検討し,器質的疾患に関連する症状を明らかにする.【対象および方法】2010年1月~2011年12月に消化器内科外来を受診した患者3718例のうち,1週間に2回以上の頻度で消化器症状を訴え,大腸疾患を除外した1600例(男性796例,平均年齢55.8才)を対象とした.診察前に消化器症状に関する問診(咽喉頭・食道・ディスペプシア症状の14項目)を行ない,血液検査,腹部超音波検査,各種内視鏡検査にて器質的疾患の診断を行なった.【結果】対象のうちGERD症状を355例,ディスペプシア症状を496例に認めた.器質的疾患は151例(9.4%)に認め,内訳は消化性潰瘍73例,胃癌16例,食道炎12例,食道癌8例,食道アカラシア8例,急性胆嚢炎4例,その他30例であった.各消化器症状の割合を器質的疾患の有無により比較すると,思わず掌で胸をこする[器質的疾患群(A群)17.0% vs. 無し群 (B群)10.2%, p=0.02],ものを飲み込むとつかえる[A群 13.3% vs. B群 7.1%, p=0.01]の2つの症状が器質的疾患群で有意に高かった.多変量解析では思わず掌で胸をこする[OR値 2.22(95% CI: 1.18-4.20), P=0.0137],ものを飲み込むとつかえる[OR値 2.92(95% CI: 1.48-5.77), P=0.002]の2つの症状が器質的疾患の合併を予測する症状であった.【結論】消化器症状を有する患者の器質的疾患の合併率は9.4%と低いが,「嚥下困難感」と「強い胸やけ症状」は器質的疾患を合併する可能性があり注意を要する.
索引用語 機能性ディスペプシア, 消化器