セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(機能性疾患)

タイトル 消P-318:

スマトリプタン内服は,近位胃の弛緩を介して胃排出を遅延させる-13C BreathID systemと飲水超音波法を用いて-

演者 関野 雄典(横浜市立大附属病院・消化器内科)
共同演者 飯田 洋(横浜市立大附属病院・消化器内科), 野中 敬(横浜市立大附属病院・消化器内科), 後藤 英司(横浜市立大・医学教育学), 前田 愼(横浜市立大附属病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】選択的5HT1受容体作動薬であるスマトリプタンの皮下注は、FD患者の近位胃の受容性弛緩を改善させるとされている。我々はスマトリプタンの経口投与の胃排出への影響をBreathID systemおよび飲水超音波法を用いて検討した。【方法】実験1)24-38歳の健常男性10名を対象し、試験食30分前のスマトリプタン50mg内服の投与の有無でcross over studyを施行した。試験食は200ml/200kcalの栄養流動食を13C酢酸100mgで標識したものを用いた。胃排出測定は8時間の絶飲食後、座位にてBreathID systemを用いて4時間の連続呼気モニタリングを行った。結果はOridion Reserch Softwareを用いて,胃排出近似曲線を作成(Ghoosらの近似式;y(t)=mκβe-κt(1-e-κt)β-1)し、胃排出速度パラメータ;T1/2、Tlag、GEC及びκ、βを算出した。実験2)20-23歳の健常男女11名を対象とし、試験食60分前のスマトリプタン50mg+水50mlの内服と水50mlのみの内服でcross over studyを行った。試験食は400ml/12kcalの流動食を用いた。8時間の絶飲食後、仰臥位でストローを用いて試験食を100mlずつ計400ml内服し、近位胃断面積を測定した。続いて座位となり、前庭部収縮振幅(%)と収縮頻度(回/3min)を測定し、積をMotility Index(MI)として算出した。【成績】実験1)内服群は対象群と比較して、T1/2(131.8vs120.3,p=0.017)、Tlag(80.1vs61.1,p=0.013)、β(2.34vs2.08,p=0.028)と有意差を認め、食後早期からの胃排出の遅延が示唆された。実験2)内服群は対象群と比較して、近位胃断面積が有意に増大していた。(V100:30.15vs15.61,p=0.028,V200:48.46vs32.30,p=0.046,V300:59.98vs48.17,p=0.046)。MIは933.12vs916.78,p=0.600と有意差を認めなかった。【結論】栄養流動食の食前スマトリプタン経口内服は、健常ボランティアの胃排出遅延を起こした。排出遅延の機序としては、近位胃の弛緩の関与が示唆された。
索引用語 BreathID system, 飲水超音波