セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(機能性疾患)

タイトル 消P-320:

FSSG(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)を用いた健常成人19864人の上部消化管症状の解析

演者 山道 信毅(東京大・消化器内科)
共同演者 望月 暁(東京大・消化器内科), 皆月 ちひろ(東京大・消化器内科), 藤城 光弘(東京大・消化器内科), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】心窩部痛・胃重感・胸痛・逆流症状・悪心などの上部消化管症状の多くは、機能性ディスペプシアや非びらん性胃食道逆流症など器質的異常を伴わない病態が占めているが、その背景因子は不明確であることが多い。酸逆流関連症状と運動不全症状に関する質問で構成され、幅広い上部消化管症状を網羅するFSSGを用いて、相関する背景因子の同定を目標とした。【方法】大規模人間ドックの2010年受診者のうち、研究同意が得られ、データ欠損のない19864人を解析対象とし、25の背景因子とFSSG値との相関を解析した。【結果】単変量解析において、年齢、性別、胃切除術・心血管疾患の既往、PPI・H2阻害剤・胃粘膜保護剤・NSAID・ステロイド・血糖降下薬の常用、成人後体重増加(10kg以上)、運動習慣の欠如、夜食の習慣、不十分な睡眠、朝食を抜く習慣(週3回以上)、就寝前2時間以内の夕食、早食いの習慣、喫煙が有意な相関を示し、脳血管疾患・腎不全の既往、抗凝固薬・降圧剤・抗高脂血症薬の常用、BMI、飲酒は相関を認めなかった。次に有意な18因子にBMI・飲酒を加えて多変量解析を行ない、標準化偏回帰係数(SC)を計算すると、不十分な睡眠(SC=0.158)、胃粘膜保護剤/PPI/H2阻害剤の常用(0.104/0.097/0.090)、成人後体重増加(0.081)、就寝前の夕食(0.061)、夜食の習慣(0.055)、BMI(-0.054)、NSAIDの常用(0.051)、女性(0.048)、朝食を抜く習慣(0.045)、運動習慣の欠如(0.035)、加齢(-0.033)、抗高脂血症薬常用(-0.026)、早食いの習慣(0.026)、飲酒(0.025)、胃切除術既往(0.024)、心血管疾患既往(0.020)、喫煙(0.018)の順に、19因子が有意な相関を示した。【結論】不十分な睡眠や様々な生活習慣が、FSSG値と相関する因子として同定された。PPI・H2阻害剤・胃粘膜保護薬常用者のFSSG値は明らかな高値を示し、現状の内服加療ではコントロールが不十分であることが示唆された。
索引用語 FSSG, 疫学研究