セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(内視鏡診断、NSAIDs)

タイトル 消P-321:

陥凹型胃腺腫の術前内視鏡診断は可能か?

演者 宮川 明祐(国保旭中央病院・消化器内科)
共同演者 石橋 啓如(国保旭中央病院・消化器内科), 石垣 和祥(国保旭中央病院・消化器内科), 阿部 宏美(国保旭中央病院・消化器内科), 片桐 智子(国保旭中央病院・消化器内科), 松島 知広(国保旭中央病院・消化器内科), 田村 寿英(国保旭中央病院・消化器内科), 中村 朗(国保旭中央病院・消化器内科), 糸林 詠(国保旭中央病院・消化器内科), 紫村 治久(国保旭中央病院・消化器内科), 志村 謙次(国保旭中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的陥凹性病変の生検診断がGroup3の際に、陥凹型胃腺腫と判断して経過観察して良いか、NBI拡大観察や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を考慮すべきかどうかの判断は難しい。今回、当院にて陥凹型腫瘍性病変としてESDが施行された症例を調査し、陥凹型Group3病変にESDを施行する意義について検討した。【方法】1)2007年7月から2012年3月までに当院にてESDを施行した332例中、内視鏡的陥凹性病変160例(腫瘍径13±7.8mm、高分化114、中分化36、低分化3、腺腫7)を対象に、術前生検診断(新Group分類)と術後病理診断(一括切除検体)の比較検討をした。次に、通常内視鏡観察での白苔、易出血性、はみ出し像、不整な陥凹面、急峻な陥凹辺縁の有無をコンセンサスリーディング(内視鏡専門医3名)にて判定し、胃癌(0-IIc)を疑う内視鏡所見の検討をした(Mann-Whitney検定)。2)術前生検Group3の病変10例(腫瘍径18±10.5mm)を対象に、癌を疑う内視鏡所見の有無で術前診断可能か検討した。【成績】1)術前生検診断(Group3/4/5)は各々10/18/132例であった。Group3の10例中、術後病理診断は5例(50%)が癌、5例(50%)が腺腫であった。Group4の2例(11%)に腺腫を認めたが、Group5は全例癌であった。内視鏡所見の白苔(有/無)、易出血性(有/無)、はみ出し像(有/無)、不整な陥凹面(有/無)、急峻な陥凹辺縁(有/無)は0-IIc病変で各々40/113、46/107、94/59、12/141、30/123例、胃腺腫で各々2/5、1/6、1/6、0/7、0/7例認められ、はみ出し像のみが有意差(P=0.02)を示した。2)はみ出し像を認めた3例中1例(33%)が腺腫、認めなかった7例中3例(43%)が癌と診断された。【考察】術前生検Group3の症例は癌が半数を占め、通常内視鏡観察での0-IIc診断は困難であり、ESDはTotal Biopsyとして有用と考えられた。【結論】術前生検診断がGroup3の内視鏡的陥凹性病変では通常内視鏡での癌と腺腫の鑑別は困難であり、ESDを考慮することが望ましい。
索引用語 陥凹型胃腺腫, 内視鏡的粘膜下層剥離術