セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(内視鏡診断、NSAIDs)

タイトル 消P-322:

粘膜下異所性腺管からの発生が考えられた粘膜下腫瘍様胃粘液癌の1例

演者 舛田 裕道(庄原赤十字病院・内科)
共同演者 山口 敏紀(庄原赤十字病院・内科), 益田 和彦(庄原赤十字病院・内科), 谷口 真理(庄原赤十字病院・内科), 盛生 玲央奈(庄原赤十字病院・内科), 盛生 慶(庄原赤十字病院・内科), 毛利 律生(庄原赤十字病院・内科), 沼田 義弘(庄原赤十字病院・内科), 服部 宜裕(庄原赤十字病院・内科), 鎌田 耕治(庄原赤十字病院・内科), 中島 浩一郎(庄原赤十字病院・内科), 高嶌 寛年(庄原赤十字病院・外科)
抄録 【症例】80歳代、女性。胃体中部及び前庭部の早期胃癌に対して内視鏡治療の既往有り。高血圧で近医通院加療中。以前(2004年)より上部消化管内視鏡検査で前庭部後壁に粘膜下腫瘍様隆起を認めていた。2010年10月の内視鏡検査で上記病変の他に前庭部前壁に15mm大の隆起性病変を認め、Group 5;well differentiated adenocarcinomaの結果を得たため加療目的に当院紹介となった。精査の内視鏡検査で前庭部後壁の粘膜下腫瘍は径35mm大と増大傾向を示しており、表面は正常粘膜に覆われているが、結節状且つ頂部に潰瘍形成を伴っていた。超音波内視鏡検査では粘膜下層を中心に筋層よりややエコーレベルの高いlow echoic massを認めた。確定診断目的に潰瘍中心部より生検を施行し、Group 5;mucinous carcinomaの診断を得た。画像検査で遠隔転移は認めず、胃前庭部の2病変に対して幽門側胃切除術を施行した。病理組織学的に、前庭部前壁の腫瘍は粘膜癌と診断。後壁の腫瘍は粘膜下層に限局して薄い繊維性皮膜に覆われる形で存在し、豊富な粘液結節の形成と内部に浮遊する腫瘍細胞を認めた。また病変表面は正常粘膜に覆われ筋層も保たれていた。最終病理診断はmucinous adenocarcinoma、粘膜下層癌であった。【考察】粘液癌は組織学的に粘膜下層以深に浸潤して粘液結節を形成するため粘膜下腫瘍様の形態を取ることも多いと報告されている。また本例は以前より長期間に渡り粘膜下腫瘍として病変部が存在していたことから、迷入膵や異所性胃腺といった粘膜下異所性腺管からの発生と考えられた。比較的稀な症例と考えられ、経時的画像所見と若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃粘液癌, 粘膜下腫瘍