セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori)2

タイトル 消P-336:

H. pylori 除菌後の逆流性食道炎悪化に除菌時疾患や組織学的胃炎が関与するか

演者 田代 淳(東芝病院・消化器内科)
共同演者 田上 大祐(東芝病院・消化器内科), 手島 一陽(東芝病院・消化器内科), 金原 猛(東芝病院・消化器内科), 松原 康朗(東芝病院・消化器内科), 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 新井 雅裕(東芝病院・消化器内科)
抄録 【目的】H. pylori (HP)除菌後は組織学的胃炎が改善し、十二指腸潰瘍患者(DU)では酸分泌の過剰状態が軽減され、胃潰瘍患者(GU)など低酸状態では酸分泌が回復して逆流性食道炎の悪化が懸念されている。そこで、除菌後の逆流性食道炎(RE)悪化に除菌時疾患や組織学的胃炎がどう影響するか検討した。【方法】当院で1996年1月から2012年3月までに除菌治療が施行され、UBT/培養/鏡検により除菌成功と判定された消化性潰瘍患者697例(年齢; 23-83歳, 中央値54歳, 男女比; 558/139, DU/GU比; 256/441)を対象とした。REはLA分類にしたがってGrade-N(M含む),-A,-B,-C,-Dの5段階で評価し、除菌前と2ヶ月後で悪化した群をRE悪化群(48例6.9%)、それ以外を非悪化群(649例93.1%)とした。両群において、年齢、性、除菌時疾患(DU/GU)、除菌前UBT値、血清ガストリン値、食道裂孔ヘルニア(無/有)、萎縮境界はclosed-type(C-0~C-3)/open-type(O-1~O-3)、組織学的胃炎は前庭部大弯/体上部大弯2点生検を行い、updated Sydney systemに基づきスコア化した菌量、好中球浸潤、リンパ球浸潤、腺萎縮、腸上皮化生、リンパ濾胞を比較した。【結果】1)RE悪化群・非悪化群において、年齢は中央値55.5 vs 54.0、男/女は41/7 vs 517/132、除菌時疾患DU/GUは17/31 vs 239/410、UBT値(‰)は中央値13.9 vs 14.1、血清ガストリン値(pg/ml)は98 vs 100でいずれも有意差はなかった。2)両群において、食道裂孔ヘルニア存在率は66.7% vs 41.3%で、悪化群で有意に高率であった(p=0.0008)。一方で萎縮境界closed-type/open-typeは39/9 vs 499/150で有意差はなかった。また前庭部・体上部での組織学的胃炎のすべての各因子において有意差はなかった。【結論】HP除菌後の逆流性食道炎悪化に食道裂孔ヘルニアの存在が関連したが、DUやGUの差、内視鏡的萎縮境界の程度は関連しなかった。また、組織学的胃炎の程度にも関連は見られなかった。
索引用語 H. pylori, 逆流性食道炎