セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性疾患)

タイトル 消P-343:

逆流性食道炎患者に対するエソメプラゾールの定型症状消失効果と随伴症状合併の関係

演者 齋藤 壽仁(東京女子医大東医療センター・内科)
共同演者 川崎 孝広(東京女子医大東医療センター・内科), 木村 綾子(東京女子医大東医療センター・内科), 安藤 由希(東京女子医大東医療センター・内科), 許山 彩(東京女子医大東医療センター・内科), 入村 峰世(東京女子医大東医療センター・内科), 岡部 ゆう子(東京女子医大東医療センター・内科), 伊賀 大二郎(東京女子医大東医療センター・内科), 富松 昌彦(東京女子医大東医療センター・内科), 大塚 邦明(東京女子医大東医療センター・内科)
抄録 【目的】逆流性食道炎(RE)は酸分泌との相関が強い定型症状(胸やけ、逆流感)以外に心窩部痛、吐き気のような随伴症状を合併する症例が多く症状治療に苦慮することが多い。近年第2世代PPIのエソメプラゾール20mg(EPZ)が承認されたが十分な検討はされていない。我々はRE患者を対象にEPZの定型症状、随伴症状に対する有効性を検討し、また随伴症状の合併有無とEPZの定型症状消失効果の関係を検討した。【方法】既存PPIで治療中にも関わらず1日/週以上の定型症状がある患者を対象とし、2011年10月よりEPZへ切り替えたRE患者53例の症状の推移をGerdQ問診票の指標でレテロスペクティブに検討した。また、随伴症状合併有無別にEPZ投与後の定型症状の消失割合を比較検討した。症状評価はGerdQ問診票の各質問で1日/週以上を症状有りとし、定型症状はpositive symptom質問、随伴症状はnegative symptom質問を指標にした。【成績】患者は男/女:28/25、60歳以上49.1%(26/53)であった。EPZ投与前には全例(53/53)で定型症状の残存を認めた。随伴症状合併割合は心窩部痛30.2%(16/53)、吐き気56.6%(30/53)であった。EPZ投与後、平均14.2日で62.3%(33/53)は定型症状が消失した。随伴症状合併割合も心窩部痛15.1%(8/53)、吐き気28.3%(15/53)へと低下した(p<.05)。投与前随伴症状の合併有無で定型症状消失割合を比較すると、心窩部痛〔有りvs無し:43.8%(7/16)vs 70.3%(26/37)〕、吐き気〔有りvs無し:46.7%(14/30)vs 82.6%(19/23)p<.10〕と差がある傾向を認めた。【結論】既存PPIからEPZへの切り替えによりRE患者の定型症状、随伴症状は改善する傾向を認めた。患者の訴える随伴症状は酸逆流の関与も考えられ、既存PPIで症状が残存する患者に対しEPZへの切り替えは有効な可能性がある。しかし随伴症状の合併はEPZ切り替え後の治療予測を行う上で検討すべき因子と思われた。
索引用語 GERD, PPI