セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性疾患)

タイトル 消P-344:

出血性胃・十二指腸潰瘍における患者背景および酸分泌抑制薬の止血効果についての検討

演者 林 健次郎(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
共同演者 櫻田 智也(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
抄録 目的:我々は上部消化管出血の急性期治療法を確立するために平成17年8月18日から平成19年7月4日にかけて出血性胃十二指腸潰瘍にて入院し内視鏡治療を行った116例に対しH2 blocker(ファモチジン)とPPI(オメプラゾール)投与の再出血予防に対する作用の比較検討を行った。方法:全症例(116例)を無作為に3群にわけ比較検討を行った。それぞれの患者に出血した日から3日間酸抑制薬の点滴投与を行った。 内視鏡にて止血を確認後4日目からオメプラゾール20mg1T1x内服に変更し8週間(6週間)の投与を行った。1群は出血日から3日間オメプラゾール20mgを1日2回点滴投与した。2群は出血日から3日間ファモチジン20mgを1日2回点滴投与した。3群は出血日にファモチジン20mgを1日2回点滴投与し、その後2日間オメプラゾール20mgを1日2回点滴投与した。全ての症例に対して出血日、出血後1日目、出血後3日目、出血後30日目、あるいは再出血が疑われた日に上部消化管内視鏡を施行し再出血の評価を行った。潰瘍の大きさ、Forrest分類、止血方法、HPの有無、NSAID内服の有無、年齢、性別、入院期間、絶食日数についても検討を行った。成績:1群の平均年齢は65.8±2.5、2群の平均年齢は60.2 ±1.7、3群の平均年齢は61.5± 2.4、全体の平均年齢は62.6± 1.3であった。全症例のうち4例、4/116(3.45%)で再出血が認められた。 再出血症例4例はいずれも大出血例かつ太い露出血管を有する症例であった。 再出血は4例全て72時間以内に認めた。投与された酸抑制薬の種類では再出血率に差を認めなかった。結論出血性胃・十二指腸潰瘍にて入院した116例のうち4例に再出血を認めた。今回のstudyにおいて内視鏡的止血率は112/116(96.6%)であった内視鏡的止血術にて止血された出血性胃十二指腸潰瘍の再出血予防についてはH2 blocker (ファモチジン)とPPI(オメプラゾール)の間には有意差はなく、どちらも有効な薬剤であると考えられた。HP陽性率・NSAIDs内服歴とも3群間に有意差は認められなかった。
索引用語 出血性胃・十二指腸潰瘍, 酸分泌抑制薬