セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性疾患)

タイトル 消P-346:

高齢者出血性胃十二指腸潰瘍の臨床的特徴と止血治療法の選択

演者 池端 敦(岩手県立中央病院・消化器科)
共同演者 高橋 健一(岩手県立中央病院・消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院・消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院・消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院・消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院・消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院・消化器科)
抄録 【目的】高齢者出血性胃十二指腸潰瘍の臨床的特徴と有効な止血治療法を明らかにすること.【対象・方法】2011年に当科で内視鏡的止血術が施行された出血性胃十二指腸潰瘍109例を対象とし,70歳以上の高齢者群(H群)と70歳未満の非高齢者群(L群)に分けて,性別,年齢,出血部位,Forrest分類,受診時のヘモグロビン値,血圧,ショック指数,基礎疾患,抗血小板剤・抗凝固剤・NSAIDsの服用状況,止血処置,輸血,再出血,手術,死亡の有無についてそれぞれ比較検討した.【結果】H群は64例(男性42例,女性22例),L群は45例(男性38例,女性7例)であった.出血部位はH群:U15,M20,L12,残胃1,D16例,L群:U9,M17,L5,残胃1,D13例であり,Forrest分類はH群: Ia8, Ib26, IIa20, IIb10,L群: Ia7, Ib17, IIa12, IIb9であった.ヘモグロビン値10g/dl未満はH群46例(72%),L群25例(56%)であり,収縮期血圧90mmHg未満はH群1例,L群3例であり,ショック指数1以上はH群9例,L群12例であった.基礎疾患はH群57例(89%),L群31例(69%)にみられH群で多かった.抗血小板剤・抗凝固剤の服用者はH群22例(34%),L群1例(2%)であり,NSAIDs服用者はH群20例(31%),L群3例(7%)で,いずれもH群で多かった.止血処置はH群:単独26例,併用32例,なし6例であり,L群:単独21例,併用22例,なし2例であり,輸血はH群46例(72%),L群27例(60%)で施行され,再出血はH群19例(30%),L群7例(16%)でみられたが有意差はみられなかった.手術は H群1例,L群1例であり,死亡例はH群2例(他病死2例),L群2例(出血3例,他病死3例)であった.難治例ではH群において止血処置の併用が多い傾向がみられた.【結語】高齢者の出血性胃十二指腸潰瘍例では基礎疾患の併存が多く,抗血小板剤・抗凝固剤・NSAIDsの服用が多いという特徴がみられた.また,難治例では複数の止血処置を要することが多く高周波凝固などの所要時間の短い止血治療法が望ましい.
索引用語 出血性胃十二指腸潰瘍, 高齢者