セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(GIST、癌)

タイトル 消P-348:

漿膜筋層切開先行による腹腔鏡下腫瘍摘出術で行うGIST手術

演者 市原 隆夫(西宮市立中央病院・外科)
共同演者 相馬 逸郎(西宮市立中央病院・外科), 林 伸泰(西宮市立中央病院・外科), 中野 克俊(西宮市立中央病院・外科), 桧垣 直純(西宮市立中央病院・外科), 村上 雅一(西宮市立中央病院・外科), 林田 博人(西宮市立中央病院・外科), 岡 義雄(西宮市立中央病院・外科), 左近 賢人(西宮市立中央病院・外科)
抄録 (はじめに)胃粘膜下腫瘍(SMT)の切除は内視鏡的なESDも可能だが,胃壁全層切除は困難であるため,GISTの可能性のある症例では,腹腔鏡下胃局所切除術が第一選択とされるべきである.しかしlesion lifting法等の従来法では胃壁の筋層欠損が広範囲で残胃変形による通過障害を生じやすく,適応部位に制限があり,腹腔鏡下手術では幽門側,噴門側胃切除が施行されることも多い.しかしこれらは後遺症も多く.当科では漿膜筋層切開後粘膜切除法を考案,胃内手術との組み合わせで占拠部位,大きさにかかわらず全てのSMTに腹腔鏡下胃局所切除術を第一選択としている.(漿膜筋層切開後粘膜切除法)管内型を除き腹腔鏡観察下に腫瘍の漿膜露頭部の外側に約2mmのfree marginを設け,漿膜に全周切開.続いて粘膜層を残し筋層も全周に切開する.ここで経口的内視鏡で胃内に挿気すると腫瘍全層が粘膜の伸展に伴い胃外に授動,突出,脱転する.これを腹腔側より粘膜裏面からlinear staplerで包み込むように切離,最後に粘膜筋層を腹腔鏡下に縫合する. (結果)本法は腫瘍最大径が胃壁欠損部に等しく最少の胃変形で粘膜表面を腹腔に暴露することなく胃壁全層切除が可能で,噴門,幽門近傍を含むSMTの89%(17/19)で適応可能であった.術後は翌日から飲食を開始可能,噴門近傍管内型での胃内手術も施行例を含め19例の術後在院日数中央値は3日であった. (結語)漿膜筋層切開後粘膜切除法は全発育型,全部位の胃SMTに対し適応可能であり,確実な胃全層切除が可能であった.また術後は粘膜断面からの出血の危惧も無く,安全で最少侵襲の腫瘍切除法であると思われた.
索引用語 GIST, 腹腔鏡下胃局所切除術