セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(GIST、癌)

タイトル 消P-349:

長期予後を見据えた上部限局胃癌に対する迷走神経温存胃漿膜筋層縦切開噴門形成術(NP-EGP)

演者 山下 直行(坪井病院・外科)
共同演者 湖山 信篤(坪井病院・外科), 菅野 仁士(坪井病院・外科), 岩井 拓磨(坪井病院・外科), 萩原 信敏(日本医大・外科), 藤田 逸郎(日本医大・外科), 金澤 義一(日本医大・外科), 小野寺 浩之(日本医大・外科), 加藤 俊二(日本医大・外科), 宮下 正夫(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【目的】上部限局胃癌(GC-U)に対する2000年以降の迷走神経温存胃漿膜筋層縦切開噴門形成術(NP-EGP)21例の評価と長期予後から見た手術の要点.【リンパ節転移】SM以深の胃癌症例(1158例, 1986-2003)の上部限局胃癌(GC-U)のNo.4d,5,6転移は4例のみで全例, 胃全摘, 脾摘をしたが2年以内の原病死.No.11転移(6.1%)はNo8a(3.4%)より高率.No.4d転移が最も多い(28%)UM,MUと隣接するので領域診断には要注意.【郭清度】D1+β(+11p)を標準.脾摘(D2-4d):2例.【合併症】EGPはヒス角形成(EGH),空間置(IP)に比べ狭窄に対処しやすく,イレウスが少ない.【内視鏡評価】他の再建法と比較.神経温存群:非温存群の順.胆汁逆流(無/有)12/1:8/8,残胃の発赤(無/軽度/高度)7/6/0:5/6/6,残渣(無/混濁/有)10/2/1:8/4/5.逆流性食道炎EGP:0/13,EGH:3/16,IP:2/6.NP-EGP群では原則的にPPIは投与しない(2例のみ). 空腸間置群に残胃観察不能例あり.【栄養評価】同時期のStageIの胃全摘と術後4年まで比較. 1)体重変化NP-EGPは89-91%,胃全摘は87-88%. 2)Hb NP-EGPは13.5,胃全摘は11.8. NP-EGPはVitB12投与例なし. 3)TP,albは有意差なし. 【予後】StageIA:16(肝転移1), IB:3, II:1, IIIB:1(No.16転移)再発は2例で噴切特有の再発なし.【残胃癌のフォロー】EGP群では4症例,7病変.全てESDでEA.他法3例は手術不能で原病死(2例IP群で残胃観察に困難.1例は食道胃吻合で胆汁逆流著明.食道腺癌を合併.分化型が多くIP群に進行例が多いとする報告(胃と腸1049-1057,2004.)に合致.【結語】NP-EGPの注意点は領域診断,短所は対象症例が少なさ.しかしGC-Uは噴切で根治性あり予後良好なため,1)残胃環境改善や2)逆食コントロールのためのPPI長期投与の障害(胃粘膜増生,Ca吸収障害)がなく, 3)体重減少抑制, 4)貧血予防, 5)残胃フォローなど,他の再建法や胃全摘に比べ有用.
索引用語 噴門側胃切除, 長期予後