セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(GIST、癌)

タイトル 消P-352:

胃癌同時性肝転移34例の切除成績

演者 竹村 信行(がん研有明病院・消化器外科)
共同演者 斎浦 明夫(がん研有明病院・消化器外科), 古賀 倫太郎(がん研有明病院・消化器外科), 吉岡 龍二(がん研有明病院・消化器外科), 小野 嘉大(がん研有明病院・消化器外科), 鈴木 文武(がん研有明病院・消化器外科), 有田 淳一(がん研有明病院・消化器外科), 比企 直樹(がん研有明病院・消化器外科), 佐野 武(がん研有明病院・消化器外科), 山本 順司(防衛医大・外科), 山口 俊晴(がん研有明病院・消化器外科)
抄録 【背景】大腸癌肝転移に対する肝切除術は同時性、異時性にかかわらずすでに確立された第一選択の治療であるが、胃癌肝転移に対する肝切除の適応は確立されていない。さらにStageIVである胃癌同時性肝転移においては手術を行うか否か、そのタイミングなど議論の分かれるところである。【対象と方法】1995年11月より2010年12月の間に我々の施設で胃癌同時性肝転移に対し切除を施行した34例の予後(全生存(OS)、無再発生存率(DFS))と予後因子(術前化学療法有無、病理組織型、CEA値、R0/R1切除、原発巣リンパ節転移有無、原発巣漿膜浸潤有無(深達度se以上/未満)、肝腫瘍径(5cm上、未満)、肝転移個数(単発/多発)を検討した。同時性肝切除の適応は胃癌原発巣の肉眼的根治切除可能症例で原則3個以内の肝転移症例である。【成績】術前化学療法は12例で行われ、S1単剤2例、S1CDDP10例、TACE1例(重複1例)であった。34例の1,3,5年OSは72,47,37 %、 生存期間中央値16ヶ月、DFSは31,21,21%であった。34例中6例で残肝再発に対し再肝切除を施行した。OSに関する単変量解析、多変量解析とも、いずれの因子も統計学的有意差は認めず、漿膜浸潤症例の予後が悪い傾向があった(p=0.058, 多変量)。RFS に関する解析も、単変量解析、多変量解析ともいずれの因子も有意差は認めず、多発肝腫瘍症例の再発率が高い傾向があった(p=0.061, 多変量)。また肝転移再発再肝切除症例の5年生存率は67%と良好であった(生存期間中央値58ヶ月)。【結論】症例は限られるが胃癌同時性肝転移に対する切除成績はこれまで報告されている切除不能胃癌の予後に比べて比較的良好であり、肝転移再発に対しても再肝切除を行う事で予後を延長する可能性が示唆された。今後はさらなる症例の集積と検討が必要である。
索引用語 胃癌, 肝転移