セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)1

タイトル 消P-354:

胃ESD後異時性発癌の危険因子の検討

演者 杉本 貴史(杏雲堂病院・消化器肝臓内科DELIMITER東京大附属病院・消化器内科)
共同演者 山地 裕(東京大附属病院・消化器内科), 崎谷 康佑(東京大附属病院・消化器内科), 神部 晴香(東京大附属病院・消化器内科), 磯村 好洋(東京大附属病院・消化器内科), 吉田 俊太郎(東京大附属病院・消化器内科), 平田 喜裕(東京大附属病院・消化器内科), 小尾 俊太郎(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 小椋 啓司(東京警察病院・消化器科), 小池 和彦(東京大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】早期胃癌および胃腺腫のESD治療後に発生する異時性発癌の危険因子を術前の背景胃粘膜の所見とともに検討する。【方法】2000年8月から2008年12月までの過去9年間にESD治療を行った201症例のうち、ESD後適応外病変で追加胃切除になった19例、残胃5例、フォロー1年未満9例、追跡データ不足4例を除いた164例に対し、ESD後2カ月、6か月、1年、以降毎年上部内視鏡検査を行い、異時性再発の検討を行った。ESD術前に前庭部大弯および体部大弯からそれぞれ生検を行って、胃背景粘膜の評価を行った。また、術前にペプシノーゲン値も測定した。【成績】平均観察期間は4.1年。対象164例中、23症例に異時性再発を認めた。再発率は年率で3.4%であった。再発率は、性別、年齢、ペプシノーゲンI/II比で有意差なく、胃体部病変、体部の腸上皮化性(Intestinal metaplasia:IM),体部の好中球浸潤において有意に高くなった。H.pylori感染状態毎の再発率については、陰性群1/28(3.6%)、除菌群17/101(16.8%)、除菌失敗または不可群5/35(14.3%)でログランク検定でも本研究では有意差を認めなかった。再発の危険因子を多変量解析にて検討した所、体部IM(オッズ比3.1)、体部好中球浸潤(オッズ比3.1)のみ有意な危険因子であった。H.pylori除菌成功し、体部IMも体部好中球浸潤も認めないが異時性発癌をした症例1例認めたが、組織型がsigであった。【結論】ESD後異時性発癌の危険因子は、術前の背景粘膜の体部腸上皮化性と体部好中球浸潤であることが示された。早期胃癌および胃腺腫のESD後は、胃癌のハイリスク状態であり、H.pylori除菌だけでなく、定期的な内視鏡フォロー計画が必要である。
索引用語 腸上皮化生, 好中球浸潤