セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)1

タイトル 消P-355:

当院ESD症例からみた同時性異時性多発胃癌の検討

演者 貝田 将郷(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
共同演者 荒畑 恭子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 財部 紗基子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 堀川 ひとみ(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 岸川 浩(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 西田 次郎(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】近年内視鏡診断の向上および治療(ESD)の普及に伴い、多発早期胃癌症例の報告が増加してきている。今回我々は当院におけるESD症例をもとに同時性異時性多発早期胃癌について検討をした。【対象・方法】2005年から2011年までに当院でESDが施行された初発早期胃癌症例155例を対象とし、多発胃癌の頻度、病変数、肉眼型、部位、組織型などについて検討した。【結果】単発胃癌は139例(89.7%)、多発胃癌16例(10.3%)であった。そのうち同時多発例(以下S群)が9例(5.8%)、異時多発例(以下M群)が7例(4.5%)であった。男女比は、S群で7:2、M群で7:0、平均年齢は、S群:75.9歳、M群:74.6歳であった。病変数は、S群で4病変が1例みられた以外、S・M両群ともすべて2病変であった。肉眼型は、隆起性病変のみが5例、陥凹性病変のみが6例、隆起と陥凹の併存症例が5例であった。占拠部位は、同一および隣接領域が大部分であり、M・L領域に多くみられた。組織型では、分化型のみが13例と最も多く、未分化型との併存が3例あり、未分化型のみの症例は1例もなかった。異時性病変発見までの期間は、最短5か月、最長で31か月であった。【考察】ESDは胃機能温存を可能にした優れた治療法である反面、癌発生母地である粘膜も大量に温存される。このため外科的切除例と比較して異時性癌発生のリスクは高くなるものの、治療後の適切なfollowにより早期発見がなされれば繰り返しESDを行うことが可能である。このため常に同時性・異時性の発生を念頭においた慎重な内視鏡観察とサーベイランスが重要である。
索引用語 多発胃癌, ESD