セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)1

タイトル 消P-358:

当院のESD施行例における多発胃癌の検討

演者 河南 真吾(徳島県立中央病院・消化器内科)
共同演者 青木 秀俊(徳島県立中央病院・消化器内科), 有田 加奈子(徳島県立中央病院・消化器内科), 斎藤 梓(徳島県立中央病院・消化器内科), 浦田 真里(徳島県立中央病院・消化器内科), 北添 健一(徳島県立中央病院・消化器内科), 鈴木 康博(徳島県立中央病院・消化器内科), 中本 次郎(徳島県立中央病院・消化器内科), 柴田 啓志(徳島県立中央病院・消化器内科), 矢野 充保(徳島県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院にてESDを施行した早期胃癌症例における多発例の現状を検討した。【方法】H11年1月からH22年12月までに当院で初回ESDを施行した早期胃癌症例のうち、初回ESD後に手術となった34例を除く393例(446病変)を単発例と多発例に分類し検討した。多発例において、初回ESDより1年以内に複数病変を認めた症例を同時多発、1年以降に新規病変を認めた症例を異時多発と定義した。【結果】多発例の頻度は40例(10.1%)で、そのうち同時例は24例(6.1%)、異時例は19例(4.8%)であった。(3例重複)性は男:女=3.0:1、平均年齢は72.9歳であった。病変数は同時例の90.5%、異時例の63.2%が2病変であった。肉眼型の組み合わせは、隆起型のみが22.5%、平坦・陥凹型のみが45.0%、併存が32.5%であった。組織型は分化型のみの組み合わせが85.0%、深達度はm癌の組み合わせが83.9%であった。異時例において平均腫瘍径が2回目以降に縮小する傾向は指摘できなかった。同時例において、他院からの紹介症例19例中9例が当院の術前検査にて他病変を認めた。当院でもESD2ヶ月後のフォローで他病変を認識した症例が1例あった。このような見落とし病変は平均腫瘍径22.1mm(5~63mm)であった。異時例において、初回から次回ESDまでの期間は平均1537日、最長は3637日であった。Kaplan-Meier法で推定される異時病変の出現率は10年で約10%であった。【考察】諸家の報告する内視鏡切除例の多発胃癌の頻度は10.4~22.2%であり、当院での頻度はこれらに比べ低率であった。要因として地域や病院特性の差が考えられた。同時病変は腫瘍径に関わらず見落とされることがあり、先入観にとらわれない入念な病変検索が重要と考えられた。異時病変の出現は期間の限定なく続くことが示唆され、期限を決めない年1回の内視鏡フォローが必要と考えた。
索引用語 多発胃癌, ESD