セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

Cohort研究からみたウイルス性肝炎の解明

タイトル 肝S7-11:

B型慢性肝炎に関する全国調査結果

演者 伊藤 清顕(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センターDELIMITER愛知医大・消化器内科)
共同演者 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】これまでにB型急性肝炎におけるgenotype Aの占める割合が年々増加しているという調査結果を報告してきた。Genotype Aでは他のgenotypeと比較して慢性化しやすい傾向にあるため、B型慢性肝炎においてもgenotype Aの占める割合が増加していることが予測された。我々は、2000年と2005年にB型慢性肝炎の全国調査を行っており、今回さらに5年経過した2010年から2011年の症例に関してgenotype Aの占める割合や、それぞれのgenotypeにおける臨床的な特徴に関して全国調査を行った。【方法】全国の研究協力施設より、2010年8月から2011年7月までの1年間に各施設を受診したB型慢性肝炎(無症候性キャリア、慢性肝炎、肝硬変、肝癌)5,150例を収集し、2005年、2010年のデータと比較解析を行った。Genotype不明例に関しては、血清を収集し判定を行った。【成績】Genotypeが判明した2,940例に関して解析を行った結果、genotype Aが121例(4.1%)、Bが528例(18.0%)、Cが2,287例(77.8%)であった。Genotype Aに関しては、2000年の調査では1.7%、2005年は3.5%、今回が4.1%と5年ごとにその割合が増加していた。年齢ごとのgenotype分布をみると、若年者でgenotype Aの割合が高いことが明らかとなった。病態に関しては、genotype AやBでは無症候性キャリアや慢性肝炎といった非進行例が多く、genotype Cで肝硬変や肝癌といった病変の進行した症例を多数認めた。HIV検査は全体の16.2%で施行されていたにすぎず、その中でもgenotype AではHIV(+)を27.6%に認め、他のgenotypeの1%未満と比較して圧倒的多数に共感染を認めた。【結論】B型慢性肝炎においても、急性肝炎と同様にgenotype Aの占める割合は増加していた。ただし、その増加の傾向は急性肝炎ほど急速ではなかった。Genotype Aでは、若年者の非進行例を多数認め、最近の成人感染による感染拡大を反映していると考えられた。今後はHIV共感染の有無に関しても、より徹底して検査する必要があると考えられた。
索引用語 B型慢性肝炎, genotype