セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)2

タイトル 消P-363:

分化型胃癌における胃関連分化制御遺伝子Sox2および腸関連分化制御遺伝子Cdx2発現の免疫組織学的検討

演者 千葉 隆士(東北大・消化器病態学)
共同演者 今谷 晃(東北大・消化器病態学), 浅野 直喜(東北大・消化器病態学), 近藤 穣(東北大・消化器病態学), 伏谷 淳(東北大・消化器病態学), 荒 誠之(東北大・消化器病態学), 宇野 要(東北大・消化器病態学), 飯島 克則(東北大・消化器病態学), 小池 智幸(東北大・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大・消化器病態学)
抄録 【背景・目的】分化型胃癌はH.pylori感染によって固有胃腺から腸上皮化生へ進展する過程で生じると考えられている。この過程で胃の分化と胃型形質発現に重要なHMGbox遺伝子Sox2の発現が抑制・消失し、相補的に腸の分化と腸型形質発現に関与するhomeobox遺伝子Cdx2が発現誘導することをin vitroで我々は明らかとしている(AJP Gastrointest Liver Physiol, 2009)。一方、胃癌の組織型分類の1つとして、MUC2、MUC5AC、MUC6に挙げられる粘液形質の発現を用い、胃型・腸型・胃腸型に従来から分類されている。そこで免疫組織化学を用い、分化型胃癌組織におけるSox2およびCdx2の発現を検討し、胃型・腸型・胃腸型による胃癌組織型分類を試みることを目的とした。【方法】2006年から2010年までの期間に当院で内視鏡的切除され、病理組織学的にtub1あるいはtub2と診断された92症例(男女比75:17、表現型IIa 37例IIc 53例 その他2例)を対象とした。抗原賦活化後、抗Sox2抗体と抗Cdx2抗体を用い免疫組織化学を行い、臨床病理組織学的に評価した。尚、染色を認めた腫瘍腺管をカウントし全腫瘍腺管数に対する割合を算出して10%以上に染色性が認められたものを陽性症例と判定し、Sox2単独陽性症例を胃型、Cdx2単独陽性症例を腸型、両陽性症例を胃腸型と分類した。【結果】分化型胃癌92例のうち、Sox2発現は26例(28.2%)、Cdx2発現は84例(91.4%)で認めた。このうちSox2単独発現症例(胃型)は4例(4.4%)のみでCdx2単独発現例(腸型)は62例(67.4%)、Sox2Cdx2両者発現症例(胃腸型)は22例(23.9%)であった。またSox2とCdx2が同時に発現している症例(胃腸型)は22例(23.9%)だった。胃腸型22例中1例のみで、Sox2とCdx2が相補的にキメラ様に発現していたものの、21例では同一腫瘍腺管の癌細胞核にSox2とCdx2が共発現していた。【結論】分化の観点からSox2とCdx2を用いて胃癌形質を検討したところ、粘液形質による組織型分類に比べ胃型および胃腸型胃癌の割合が少なかったものの、Sox2およびCdx2発現の検討が胃癌組織型分類の補助的マーカーとなりうると考えられた。
索引用語 Sox2, Cdx2