セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(癌)3

タイトル 消P-368:

化学療法無効の切除不能・再発胃癌に対するがんペプチドワクチン療法の第I相臨床試験(最終報告)

演者 東原 良恵(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科)
共同演者 加藤 順子(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 小谷 知弘(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 小西 正恵(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 芹澤 信子(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 長田 太郎(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 吉澤 孝史(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 永原 章仁(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大附属順天堂医院・消化器内科), 吉田 浩二(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 角田 卓也(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 中村 祐輔(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター)
抄録 【目的】癌に対する新たな治療法としてがんペプチドワクチン療法が注目されている。これまでに我々は胃癌に対する新規腫瘍抗原であるURLC10由来HLA-A*2402拘束性エピトープペプチドとVEGFR1由来の腫瘍新生血管抗原エピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法の第I相臨床試験の安全性を報告した。今回試験終了後にHLAを開示し、HLA-A*2402陽性群と陰性群(コントロール群)とで比較し、安全性、臨床的有効性、免疫反応を検証した。【方法】対象は2009年8月から2011年1月に登録した化学療法無効の進行胃癌症例である。投与法はURLC10およびVEGFR1ペプチドワクチンを各2mg/bodyとし、1週間に1回計4回投与を1コースとした。1コース以上投与可能例を完遂例とした。安全性、治療効果判定は1コース毎に行い、臨床的にPDと判断されるまで、可能な限りワクチン投与を続行した。試験終了後にHLAを開示し、HLA-A*2402陽性群と陰性群を比較した。【成績】本試験に登録した14例のうち12例(男性9例、女性3例)で完遂することができた。脱落症例はいずれも原疾患の進行により治療継続が不可能となったが、ペプチドワクチンの有害事象により完遂不能な症例は認めなかった。投与部位にGrade1までの硬結、発赤、掻痒感の皮膚反応は認めたが、局所の皮膚反応以外の重篤な有害事象は認めなかった。1コース後の治療効果判定は、SD 4例、PD 8例であった。SD4例中3例がHLA-A*2402陽性であった。全症例の生存期間中央値は4.8ヶ月であり、HLA-A*2402陽性群と陰性群はそれぞれ、4.4ヶ月と3.5ヶ月(p=0.7108)であった。【結論】本試験は重篤な有害事象はなく安全に行なうことができたが、コントロール群と比較し延命効果は認められなかった。少人数での検証であり、今後症例数を増やしさらなる検討が必要と考えられた。
索引用語 胃がん, ペプチドワクチン